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2019 Fiscal Year Annual Research Report

中性子回折によるハイエントロピー合金の局所構造解析

Publicly Offered Research

Project AreaHigh Entropy Alloys - Science of New Class of Materials Based on Elemental Multiplicity and Heterogeneity
Project/Area Number 19H05164
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

池田 陽一  東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40581773)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
Keywordsミディアムエントロピー合金 / 中性子 / 局所構造 / EXAFS
Outline of Annual Research Achievements

構成元素数を3つに減らした,ミディアムエントロピー合金T-CoNi(T=クロムCr, マンガンMn, 鉄Fe)に着目して研究を進めた.理論的には,この3つの系の配置エントロピーは同程度であるが,生成エンタルピーがクロム系では負,鉄系では正,マンガン系では略ゼロとなっており定性的な違いが指摘されている.即ち,クロム系では異種元素が,鉄系では同種元素が最近接になりやすい傾向があり,一方,マンガン系はランダムになり易い傾向を持つことが予想される.
本年度は,理論的に予想されている生成エンタルピーの定性的な違い(Cr系では負,Fe系では正,Mn系では略ゼロ)が,局所構造にどのように反映されているのかを実験的に明らかにするために,SPring-8 BL14B1にてX線吸収端微細構造解析(EXAFS)を行った.予備的ではあるが局所構造解析を行ったところ,3つの物質の間で,平均格子定数の違いでは説明ができない変化がEXAFSスペクトルに見られ,何らかの局所構造の違いを示唆する結果が得られた.しかしながら,本年度の実験から,実験中の系統誤差が不明瞭なため定量的な議論が難しいこともわかってきた.より定量的な議論をするために,次年度は試料形状をフォイル状にするなどの工夫を行い,系統誤差を減らした実験を進める予定である.また中性子全散乱測定による局所構造解析を行うために,J-PARC MLFへのビームタイム申請を行い,2020A期にビームタイムを獲得した.2020年度は中性子実験による局所構造解析を進めることに加えて,本年度行ったEXAFS実験をより詳細に行う予定である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

初年度(2019年度)は,放射光施設や中性子実験施設におけるビームタイムの獲得に手間取ったため,十分な実験を行うことができなかった.辛うじてEXAFSの予備実験により局所構造が異なる可能性を見出すことができたため,2020年度はその検証を推し進める.2020年度の実験に必要なビームタイムは,本年度中に行った申請により既に獲得済みとなっており,現時点では,2020前期にEXAFS実験をSPring-8(BL14B1)で,中性子全散乱実験をJ-PARC MLF BL21で行う予定である.これ以上の遅滞は生じないように研究を進めたい.また,これらの実験に目途が立ち次第,共同研究を増やしていく予定である.

Strategy for Future Research Activity

2020年度も,本年度と同様に,構成元素数を3つに減らした,ミディアムエントロピー合金T-CoNi(T=Cr, Mn, Fe)に着目して研究を進める.理論的に指摘されている定性的な違い(クロム系では異種元素が,鉄系では同種元素が最近接になりやすい傾向があり,一方,マンガン系はランダムになり易い傾向)を以下実験により検証する.
2020年度の具体的な目標として,以下の2つを挙げる.
1.当該合金に対して中性子回折実験を行い,2体分布関数の分析から,局所構造の違い(特に短距離規則化の有無)を明らかにする.実験はJ-PARC MLFのBL21に設置された高強度全散乱装置にて実施する.本実験については,2019年度に課題提案をしており,2020前期に採択済みとなっている.測定用の試料は,昨年度中に導入した作製装置により,既に作製済みであり,実験日時が決まり次第実施する.まずは室温における実験を優先し,低温(液体窒素温度)から,750K程度までの高温にかけての温度変化を調べる予定である.
2.X線吸収端微細構造(XAFS)の実験についても実施する.まずは2019年に見出した局所構造の違いが本質かどうかを見極める.EXAFS測定は放射化などの心配がないため,系統誤差の問題が解決できれば,波及効果は大きい.そこで,2020年度の実験では,試料形状をフォイル状にするなどの工夫を行い,系統誤差の小さな実験方法の確立を目指す.本実験は2019年中に課題申請をしており,2020前期にSPring-8 BL14B1にて採択済みとなっている.試料については昨年度中に作製済みであるため,実験日時が決まり次第実施する予定である.

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Published: 2021-01-27  

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