2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of martensitic transformation of high entropy type alloys and development of novel high temperature shape memory alloys
Publicly Offered Research
Project Area | High Entropy Alloys - Science of New Class of Materials Based on Elemental Multiplicity and Heterogeneity |
Project/Area Number |
19H05167
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金 へよん 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20333841)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マルテンサイト変態 / 形状記憶合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
B2構造を有するXY型合金に着目し、XとしてTi、Zr、Hfの3種類、YとしてNi、Pd、Pt、Cu、Ag、Au の6種類の元素により構成される多主成分XY合金を対象とした。今年度は、X、Yがそれぞれ2種類の元素で構成された4元合金(X1X2)(Y1Y2)、Yが3種類の元素で構成された4元合金(X1)(Y1Y2Y3)、Xが3種類の元素で構成された4元合金(X1X2X3)(Y1)、および5元合金(X1X2X3)(Y1Y2)を対象にした。合金インゴットをアーク溶解法で作製し、均質化処理および溶体化処理を施した。各試料の内部組織および相構成をSEM、XRDにより調べた。結晶構造に注目し、高温相とマルテンサイト相の結晶構造を調査した。各試料のマルテンサイト変態特性をDSCにより調べた。引張試験および一定応力下での熱サイクル試験により、機械的特性と形状記憶特性を調査した。(X1X2X3)Ni型の4元合金では、ZrとHfの添加量の増加に比例して変態温度が上昇した。特に、Ti15Zr20Hf15Ni50合金では、ZrとHfの相乗効果により、非常に高い変態温度(M*=911 K、A* = 1065 K)が得られた。(X1X2)Ni型および(X1X2X3)Ni型合金のマルテンサイト相はTi50Ni50と同様にB19'相であった。Ti50Ni50合金のNiを他の10族または11族元素で置換したTi50Ni16.6Cu16.7Pd16.7、Ti50Ni16.6Pd16.7Au16.7などのX1(Y1Y2Y3)型4元合金は、B2-B19 相のマルテンサイト変態が確認でき、その変態温度は添加量の増加に伴い上昇した。X、Yがそれぞれ2種類の元素で構成された (X1X2)(Y1Y2) 型4元合金は、(X1)(Y1Y2) 型または(X1X2)(Y1)型3元合金に比べ、マルテンサイト変態温度が低下する傾向を示した。Ti50Ni50のTiサイトを多主成分にした(X1X2X3)Ni型合金および、Niサイトを多主成分にしたTi(Y1Y2Y3)型合金では、それぞれB2-B19'、 B2-B19のマルテンサイト変態温度が上昇し、高温形状記憶合金のとして有望であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、ハイエントロピー合金の概念で設計した多主成分合金におけるマルテンサイト変態について調査した。B2およびBCC構造を有する多主成分合金の相安定性、結晶構造、マルテンサイト変態特性および形状記憶特性について系統的な実験を行った。B2構造を有するXY型合金に着目し、XとしてTi、Zr、Hfの3種類、YとしてNi、Pd、Pt、Cu、Ag、Au の6種類の元素により構成される3元系、4元系、5元系合金について変態温度と結晶構造に及ぼす添加元素の効果を定量的に調査し、TiNiのTiサイトを多主成分にした(X1X2X3)Ni型合金および、Niサイトを多主成分にしたTi(Y1Y2Y3)型合金では、マルテンサイト変態温度が上昇し、高温形状記憶合金のとして有望であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の結果を参考にし、X、Yがそれぞれ2種類の元素で構成された4元合金(X1X2)(Y1Y2)、Yが3種類の元素で構成された4元合金(X1)(Y1Y2Y3)、Xが3種類の元素で構成された4元合金(X1X2X3)(Y1)、およびX、Yがそれぞれ2種類、3種類の元素で構成された5元合金を対象にし、合金元素の種類と添加量を変化させ、特性評価を行う。さらに、(TiZrHf)をベースとした不規則BCC構造を有する多主成分系合金も対象にする。 結晶構造に注目し、高温相とマルテンサイト相の結晶構造を調査し、構成成分元素と結晶構造との関連性を明らかにする。昨年度の結果と統合して分析し、B2 相単相またマルテンサイト単相になる条件を見出す。各試料のマルテンサイト変態特性をDSC、電気抵抗測定等により調べる。特に、変態温度、変態熱量、ヒステリシスに注目し、構成成分元素とマルテンサイト変態特性との関連性を明らかにする。引張試験、一定応力下での熱サイクル試験により形状記憶特性を調べる。特に、形状回復量、ヒステリシス、塑性歪み量を定量的に評価する。形状記憶効果を示す合金を選定し、長時間の熱処理を施し、組織の安定性を評価する。
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