2019 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶弾性定数から見るハイエントロピー合金の力学特性と構造安定性
Publicly Offered Research
Project Area | High Entropy Alloys - Science of New Class of Materials Based on Elemental Multiplicity and Heterogeneity |
Project/Area Number |
19H05174
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 克志 神戸大学, 工学研究科, 教授 (30236575)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 単結晶弾性率 / 原子間結合 / 方向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで測定に成功していたCrMnFeCoNiハイエントロピー合金に加え,CrCoNiミディアムエントロピー合金の単結晶試料を作製し,単結晶弾性率を液体ヘリウム温度から1000℃の広い範囲で測定することができた.CrCoNiミディアムエントロピー合金の単結晶弾性特性は,CrMnFeCoNiハイエントロピー合金と純Ni,等比CoNiの中間の特性を示し,純金属からCrMnFeCoNiハイエントロピー合金に至るまで弾性特性が系統的に変化している可能性が高いことが示された.一方,MnFeCoNiミディアムエントロピー合金についても単結晶を作製し,弾性率の測定を行ったが,120K以下では磁気変態によって超音波減衰が大きくなり,十分な精度での弾性率測定を行うには至らなかった.この試料については再度熱処理を行った際に多結晶化してしまい,磁場を加えることで磁気変態に伴う超音波減衰を押さえた測定を行うには至らなかった. また,CrMnFeCoNiハイエントロピー合金の弾性特性において比較的強い原子間結合の方向性が見られていたことについて,X線回折強度測定結果をマキシマム・エントロピー法で解析することにより平均的な結晶内の電子分布を算出した.その結果,原子の中間位置において,電子密度の高まりが生じていることが明らかとなり,これが比較的強い原子間結合の方向性と関係している可能性が示された.この結果はある特定の面指数の回折強度から導出されていることから,再度測定することで確認する必要がある. 他の研究者との連携においては,いくつかのハイエントロピー,ミディアムエントロピー合金単結晶の作製に協力し,それぞれの研究者が行う測定に対して貢献した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に目的としていた測定を順調に終わらせることができた.また次年度に向けての準備も予定通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
残りのミディアムエントロピー合金の単結晶弾性率の測定を終了させ,純物質からハイエントロピー合金までの弾性特性の系統的な変化を明らかにする.
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Research Products
(1 results)