2019 Fiscal Year Annual Research Report
小惑星探査機はやぶさ2の回収試料のミューオンによる炭素質物質分析法の確立
Publicly Offered Research
Project Area | Toward new frontiers : Encounter and synergy of state-of-the-art astronomical detectors and exotic quantum beams |
Project/Area Number |
19H05183
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 智樹 東北大学, 理学研究科, 教授 (20260721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミュオン / はやぶさ2 / C型小惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年3月にJ-PARCにおいてGe検出器を用いてリュウグウ回収サンプルに近い物質である炭素質隕石に対し、負ミュオンを照射し元素分析を行った。Ge検出器2台を用い、CM炭素質隕石約200mgの粉末をステンレス容器に入れたのちに圧縮したものをサンプルとして用いた。負ミュオンを4時間照射した。その結果、CM隕石に由来するミュオン特性X線(炭素、酸素、ケイ素など)が明瞭に検出された。一方、ステンレスホルダー由来の鉄、銅なども検出された。ミュオン由来の炭素の特性X線は約200±30カウント(検出器一台当たり)が検出された。模擬試料での軽元素検出に成功した点で実際のリュウグウ回収試料の分析への最初の目的を達成することができた。今後は、もっと少量のCM隕石(50㎎程度)のサンプルでSN比の高い炭素の特性X線を検出すること、サンプルホルダー由来の金属元素のX線やミュオンの制動放射由来のX線の強度を減らすことことが必要になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費初年度の実験が年度末の3月になってしまい、研究費を繰り越すことになっていまったが、実験自体はうまくいっており、想定通りの結果を出すことができたため、おおむね順調に推移していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
・もっと少量のリュウグウ模擬物質(CM隕石50㎎程度)のサンプルでSN比の高い炭素の特性X線を検出すること、 ・サンプルホルダー由来の金属元素のX線やミュオンの制動放射由来のX線の強度を減らすことこと ・サンプルを大気に暴露せずに分析できる仕組みを作ること を目標に、2020年度に複数回の負ミュオン実験を行っていく予定である。
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