2019 Fiscal Year Annual Research Report
Transomics modeling using iPSC of bipolar disorder
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
19H05203
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 謙二 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 双極性障害 / iPS細胞 / BDNF / 巨核球 |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害は代表的な精神疾患であるが、双極性障害の病因は未だ不明な点が多い。近年、精神疾患患者のiPS細胞から分化した細胞を用いた研究が盛んになっているが、精神疾患のiPS細胞を用いた研究は、iPS細胞から分化した神経細胞やグリア細胞を用いた研究が主である。 一方、双極性障害を含む気分障害の血液バイオマーカーとして、脳由来神経栄養因子(BDNF: Brain-derived neurotrophic factor)の異常が知られており、多くのメタ解析から証明されている。血液中のBDNF濃度は、脳内濃度より高く、血液中BDNF濃度の多くは、血小板由来であると考えられている。興味深い事にBDNF遺伝子は、血小板に分化する巨核球に存在することから、本研究では巨核球を用いて双極性障害の病因を調べることを目的とする。 健常者と双極性障害患者のiPS細胞は、共同研究者のスウェーデンの鮒恵子先生から提供されたサンプルを使用する。ますヒト由来iPS細胞から巨核球に分化し、BDNFの遺伝子発現の測定、網羅的なRNA-seq解析を実施し、双極性障害の病因における血液由来のBDNFの役割および網羅的解析を実施した。 まず、iPS細胞における健常者と双極性障害患者のBDNF遺伝子発現を測定した結果、患者群でBDNF mRNAの発現が、健常者と比較して有意に低いことが判った。一方、神経に分化した神経細胞では、患者群の方が健常者と比較して高い値を示した。アンチセンスBDNF-ASの遺伝子発現は両群で差が無かった。さらに、両群のiPS細胞から巨核球のRNA-seq解析を実施し、現在IPA解析を実施中です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、iPS細胞から巨核球に分化し、網羅的遺伝子解析RNA-seqを実施したので、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下のような研究実施計画をたてて実施する。 1)昨年度、実施したRNA-seq解析データのIPA解析を実施し、どのようなシグナル系が双極性障害患者で異なるかを明らかにする。これらの差が認められたシグナル系を幾つか候補として選択し、同じサンプルを用いて、定量的RT-PCRを行い、遺伝子発現を定量評価する。 2)上記で得られた候補シグナル系については、コントロール群、双極性障害患者群の死後組織(脳、肝臓、脾臓)を用いて、タンパク発現を調べる。さらに、血液中に存在するタンパクが見つかれば、健常者と双極性障害患者の血液中のタンパク濃度を市販のELISAで測定する。
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