2019 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集による生体脳内での発達障害モデリングとタンパク質の網羅的イメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
19H05206
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三國 貴康 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90786477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / イメージング / 発達障害 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、単一遺伝子異常で発達障害の症状をきたす症候群を対象に、マウスを動物モデルに使って、タンパク質の量的制御、細胞内局在・動態の情報を網羅的に収集することを目的としている。2019年度は、生体脳内ゲノム編集・分子イメージング技術であるSLENDR法およびvSLENDR法 (Mikuni et al., Cell 2016; Nishiyama*, Mikuni* et al., Neuron 2017) を駆使して、マウスの大脳皮質において疾患モデルとコントロール細胞をモザイク状に作り出し、内在性タンパク質の発現量、細胞内局在・動態をイメージングする方法の開発を目指した。この方法の開発により、疾患モデルとコントロール細胞を、同一組織の同じ条件下で解析できるようになる。このような技術開発を実現するために、まず、(1)単一遺伝子異常で発達障害の症状をきたす症候群としてレット症候群に着目し、その原因遺伝子であるMeCP2をCRISPR-Cas9による生体脳内ゲノム編集でモザイク状にノックアウトすることに成功した。そのうえで、(2)主にシナプス機能に関わる代表的なタンパク質20種類以上について、SLENDR法およびvSLENDR法で目的分子を高感度かつ選択的に標識するためのゲノム編集プラットフォームを構築し、このプラットフォームと2光子顕微鏡を用いて、大脳皮質において実際に分子イメージングを行えることを確認した。2019年度のこれらの成果により、今後、マウスの生体脳内で作製した病態モデル細胞において、様々な重要タンパク質の動態をモニターすることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた技術開発(生体脳内で疾患モデルとコントロール細胞をモザイク状に作り出し、様々な内在性タンパク質の発現量、細胞内局在・動態をイメージングするための方法の開発)は、おおむね実現した。ゆえに、「おおむね順調に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に開発した生体脳内モザイクノックアウト法と分子イメージング法をさらにブラッシュアップする。そのうえで、マウス固定脳スライスイメージング、マウス個体でのin vivoイメージングを行い、共焦点顕微鏡や2光子顕微鏡で標的タンパク質の発現量と細胞内局在を解析する。これらの研究により、同一組織中の疾患モデル細胞と対象細胞で標的タンパク質の発現や動態を網羅的かつ高精度に観察比較し、発達障害の病態生理の分子メカニズムに迫ることを目指す。
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