2019 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟な判断の障害に関わる神経回路のマルチスケール解析
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
19H05207
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宇賀 貴紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50372933)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチングは、霊長類特有の重要な認知機能である。我々はこれまで、独自に開発した2つの環境に応じて判断を切り替えるタスクスイッチ課題を用い、外側頭頂間野(LIP)野ニューロンの判断関連神経活動が、ケタミン投与によってどのように変化するのかを検討した。その結果、ケタミン低用量全身投与により、LIP野ニューロンは不必要な情報まで収集するようになること、判断に必要な情報収集を開始するタイミングが遅延することを突き止めた。 このような判断の障害を理解するため、本研究では、「いつ」、「どの」情報を収集するかという高次な脳内プロセスが、どのように制御されているのかを問うことを目的とする。そのためまず、どの情報が判断に必要なのかのルールに関する情報を持っていると考えられる前頭前野(PFC)の活動を皮質脳波(ECoG)で網羅的に計測した。皮質脳波は外側(64ch)、内側(32ch)、眼窩(32ch)前頭連合野から計128chを計測した。 各領域では、視覚反応と眼球運動関連反応とが見られた。「どの」情報を収集すべきかのルールの情報をニューロン活動から解読するため、サポートベクターマシーン(SVM)による解読を視覚反応の事象関連電位(ERP)に適用したところ、眼窩前頭連合野ではルールの呈示後80ms程度で、内側前頭連合野では100ms程度で、外側前頭連合野では200 - 300 ms程度で解読できた。このことは、ルールに関する情報が、眼窩前頭連合野で作られ、他の前頭連合野領域に伝達されることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前頭連合野からECoG計測を行うことができ、SVMによる解読が一通りできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前頭連合野の計測でルールに関連する神経活動を明らかにすると共に、感覚から判断への変換を大脳皮質MT野とLIP野の同時計測で明らかにする。
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Research Products
(1 results)