2019 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞技術及び患者リソースを用いた精神疾患の分子とヒト病態を結ぶ多階層解析
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
19H05218
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中澤 敬信 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00447335)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 精神疾患 / CNV / de novo変異 / トランスレーショナル研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、病態に直結すると期待されるCNV変異やde novo変異を持つ患者iPS 神経細胞を用いた細胞生物学的手法や電気生理学的手法による神経機能解析、及びトランスオミクス解析などの分子神経科学的手法による解析やヒトと同じ変異を導入したマウスを駆使し、患者iPS 神経細胞の機能異常、及びその原因となる「共通の」分子基盤を明らかにすることを目的としている。本年度は以下の成果を得た。 1)3q29領域微小欠失は頻度は稀であるが、統合失調症におけるオッズ比が約60以上と、精神疾患分野ではほぼ最大である。in vitro培養系を用いて、神経細胞のマーカーであるMAP2と神経幹細胞のマーカーであるNESTINを指標に、3q29欠失をもつ患者のiPS細胞の分化を調べたところ、神経幹細胞から神経細胞への分化に遅れが生じることを明らかにした。また、その分化異常は培養後期でもキャッチアップされないことを明らかにした。また、神経幹細胞においては、3q29欠失領域内の遺伝子についてそのほとんどが発現していることを明らかにした(未発表データ)。 2)現在までに20家系以上に変異が同定され、POGZは「変異数が最も多い遺伝子」として注目されている。in vitro培養系を用いて、神経細胞のマーカーであるMAP2と神経幹細胞のマーカーであるNESTINを指標に、POGZ変異をもつ患者のiPS細胞の分化を調べたところ、神経幹細胞から神経細胞への分化に遅れが生じることを明らかにした。また、神経幹細胞や神経細胞を用いたRNA発現解析を実施し、POGZ変異をもつiPS神経幹細胞では、分化に関連する多くの遺伝子の発現に異常があることを明らかにした(Nature Communications, 2020)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった、3q29欠失、POGZ変異をもつ患者由来のiPS神経幹細胞の分化異常の表現型を明らかにするとともに、その分子基盤の一端を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに、病態に直結すると期待されるCNV変異やde novo変異等を持つ患者iPS 神経細胞を用いた細胞生物学的手法や電気生理学的手法による神経機能解析、及びトランスオミクス解析などの分子神経科学的手法による解析やヒトと同じ変異を導入したマウスを駆使し、患者iPS 神経細胞の機能異常、及びその原因となる分子基盤を明らかにする。さらに、臨床情報を保持する患者バイオリソースを用いて、明らかにした精神疾患の発症機構や分子基盤の妥当性を検証し、当該分子基盤と精神疾患の発症、及び患者に共通してみられる認知機能障害や社会機能異常との因果関係にせまっていく計画である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Autism-associated protein kinase D2 regulates embryonic cortical neuron development2019
Author(s)
Matsumura Kensuke、Baba Masayuki、Nagayasu Kazuki、Yamamoto Kana、Kondo Momoka、Kitagawa Kohei、Takemoto Tomoya、Seiriki Kaoru、Kasai Atsushi、Ago Yukio、Hayata-Takano Atsuko、Shintani Norihito、Kuriu Toshihiko、Iguchi Tokuichi、Sato Makoto、Takuma Kazuhiro、Hashimoto Ryota、Hashimoto Hitoshi、Nakazawa Takanobu
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 519
Pages: 626~632
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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