2019 Fiscal Year Annual Research Report
トランスオミクスによる精神病態分子基盤の特徴量抽出
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
19H05220
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 雄太 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70725085)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CHD8 / ASD / 自閉症 / モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)はコミュニケーション障害や行動の限局性を特徴とする発達障害であり、1%を越える高い有病率から近年特に注目を集める精神疾患の1つである。CHD8はASD患者で最も変異率の高い遺伝子の一つとして注目を集めているが、申請者はマウスに同様の遺伝子変異を導入することでASD様の行動異常を再現したモデルマウスの作製に成功し、そのASD発症メカニズムについて報告した。本研究はCHD8ヘテロ欠損マウスをASDモデルマウスとして用いて、ASDの原因遺伝子から分子レベルの変化、そして行動異常に至る各階層でヒトASD患者の病態をマルチスケールに解析することでASDの発症メカニズムの解明を目指す。そこで本研究ではこのマウスを研究対象として種々のビッグデータを取得し、仮説の導出と検証によってASDの病態を階層縦断的に説明し得るモデルの提案を目指す。具体的には、①網羅的なオミクス解析を用いた「分子階層」の大規模データ取得をおこない、②データ解析による特徴量抽出によって「細胞階層」「回路階層」におけるASD発症メカニズムの仮説を導出(アブダクション)し、③マウス行動解析による検証実験(バリデーション)によって「行動階層」の表現型が誘導されることを確認することでモデルの確からしさを評価する。 2019年度はCHD8ヘテロ欠損マウスのオミクスデータを取得し、現在データ解析によって特徴量の抽出をおこなっている。また、検証実験に用いるマウスモデルの作製しており、各細胞種特異的にCHD8を欠損するマウスの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたオミクスデータの取得が完了し、データ解析に移行している。さらに検証用のマウス作製も当初の予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
オミクスデータのデータ解析から特徴量の抽出を急ぐ。得られた特徴量からASDの発症メカニズムの仮説を立て、マウスモデルを用いた検証実験をおこなう。
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