2019 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症病態にみられる社会性行動の構成的理解 ~幼児期E/Iバランス仮説の検証
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
19H05228
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
三好 悟一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20519326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉症 / 前頭前皮質 / 社会性行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症は、対人交流や意思の疎通が様々なコンテクストで困難である社会性の低下と、興味や活動に限定的かつ繰り返し傾向が認められるという二つの特徴をもって認める。現在のところ、神経発達障害である自閉スペクトラムの病態を説明できるような病因遺伝子や脳機構は同定されていない。申請者が独自に開発した自閉症様モデル群では、社会性を司ることが知られている前頭前皮質のE/Iバランスが発達期のみに崩れていることを解明した。回路発達にみられるE/Iバランス機構のエンドフェノタイプに着目することで、自閉症病態の分子および回路レベルでの構成的理解に挑戦する。自閉症へのFoxG1因子「量」の深い関与が複数の階層にわたり知られている。FoxG1変異により遺伝子重複やハプロ不全となったいずれのケースも「遺伝子量」の増加・減少により自閉症を発症する。またFoxG1「発現量」の異常が病態へと至る中間表現形として、自閉症患者由来iPS細胞を用いたアッセイにより見出されている。申請者が新たに樹立した3種類のFoxG1因子「量」操作によるモデルマウスには、社会性行動の異常と脳波ガンマ帯活性の低下という典型的な自閉症様表現形が認められる。一方、社会性制御に重要な役割をもつことが知られている前頭前皮質の興奮/抑制(E/I)バランスの不均衡化が幼児発達期のみに選択的に観察された。そこで、「幼児発達期に前頭前皮質のE/Iバランスが崩れると、自閉症表現形が現れる」という仮説を立て研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自閉症様モデルにおいて、幼児発達期前頭前皮質のE/Iバランスを補正する操作を実施すると、成体の自閉症様表現形をレスキューし正常化することができることを解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
自閉症様表現形のレスキューを受けて、今後、どのような回路分子機構がはたらいているのかを明らかにしていく。
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