2019 Fiscal Year Annual Research Report
マウス覚醒下fMRIを用いたうつ脆弱性・抵抗性と脳機能との相関解析
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
19H05232
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉田 紘太 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (10550957)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | fMRI / mouse / depression / connectivity |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病は遺伝的要因のみならず、環境・経験によって引き起こされる部分が大きいと考えられる。そのため、その病態解明および原因解明の研究には環境変化・経験前後の比較研究が重要と考えられる。ヒトは遺伝学的・環境要因を統一することが難しいため、切り分けができない一方で、モデル生物、例えばマウスのような齧歯類では遺伝的背景が統一されているため、環境・経験による要因を解析することが可能となる。しかし、これまでの研究手法ではそのストレスが加わる前後、および途中の解析、すなわち動物を生かしながらストレスの影響を検討・解析する、ということは限られた手法しか存在しない。また、その手法自体にも現存する問題点があり、特に細胞でもなく、個体レベルでもない中間的視点の定量的解析方法が不足していると考えられる。そのため、脳機能の変化を同一個体で追うことは現時点では難しい。ストレスによる“脳機能の変化”こそ、うつ病の事前リスク、および発症にいたる前の個別の閾値を調べることが可能になるのではないかと仮説を立てた。 本研究ではマウスの覚醒下におけるfunctional magnetic resonance imaging (fMRI)を用いて、ストレスが脳内機能的連絡にどのような変化をもたらすかをストレス経験前、途中、後の3点の時間軸にて明らかにすることを目的とする。また、この機能的連絡と行動試験結果の間の相関関係を調べ、個体毎のストレス脆弱性/耐性についての因果関係に迫る。 本年度はsocial defeat stress(SDS, 社会的敗北ストレス)を用いて、ストレス付与前、5日間のストレス後、10日間のストレスを与え、それぞれに対応した、fMRIのデータ取得を行った。次年度、これらのデータ解析を行い、結果の検討を行うものとする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順化条件の検討に時間がかかってしまったものの、主とするストレス前後途中のfMRIデータが取得できたため、おおむね計画書通り順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属先異動、コロナウィルスによる入室禁止などの問題から、本年度の研究計画を大きく変更する必要があると考えられる。まずは昨年度得られたデータ解析を行い、その結果次第では、本年度はfMRIは行わず、全脳カルシウムイメージング、micro-endoscopeなどを代替案として使用する必要がある。
|