2019 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリア生殖戦略のインテグリティを支える新奇機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Ensuring integrity in gametogenesis |
Project/Area Number |
19H05236
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小林 一也 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (50360110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラナリア / ゲノム解析 / ゲノムインテグリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
1有性化阻害細菌と有性化阻害因子の同定 先行研究において、16S rRNA配列の比較による細菌叢解析により有性個体に比べて無性個体に多く存在しているグラム陰性菌を見いだしていた。この細菌に特異的なrRNA配列に対するペプチド核酸を合成し、無性個体に給餌することで目的細菌を特異的にノックダウンさせる実験系を確立した。この実験系を利用して細菌叢解析により絞り込んだ候補細菌を検証し、目的細菌をひとつ得た。一方、有性化阻害因子はプラナリア無性個体に多く含まれているという仮説のもとで、メタボローム解析を行った。その結果、無性個体特異的な物質2種、有性個体に比べて無性個体に多く含まれている物質を4種同定した。 2プラナリアゲノムのインテグリティ保証システムの解明 解析の親株であるDugesia ryukyuensisのクローン集団OH株のゲノム解読を行った。次世代シーケンスで読んだ約200bpの短いリード情報を用いてK-mer解析を行った結果、ゲノム解読に適当であることがわかったので(ゲノムサイズは約2Gbpと推定)、現在、de novoアッセンブリを行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの研究項目において、1.有性化阻害因子候補物質を6種に絞り込み、目的細菌の同定に成功した、2.実験材料のゲノム解析が順調に進行中であることから、(2)おおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1有性化阻害細菌と有性化阻害因子の同定 今年度は目的細菌の単離方法を確立したのちに、目的細菌のゲノムの決定を目指す。昨年度、メタボローム解析により絞り込んだ有性化阻害因子の候補物質6種に関して、有性化阻害効果があるかを検証する。最終的に、目的細菌のゲノム情報から目的物質の産出に関わる遺伝子が存在しているかを検証する。 2プラナリアゲノムのインテグリティ保証システムの解明 親株(OH株)のゲノム配列を決定する。また、有性化したOH株からF1のクローン集団(無性集団)を得て、さらに実験的有性化により有性集団(以下、有性集団without無性生殖)も用意する。これらの2集団がそれぞれの生殖方法下で変異の蓄積がどう変化していくかを、親株(OH株)のゲノム情報を駆使しSNP解析で検証する。本研究では、X線照射を利用して変異を促す環境下で無性集団と有性集団without無性生殖を維持する。一定時間後に、無性集団を有性化する(以下、有性集団via無性生殖)。有性集団without無性生殖と有性集団via無性生殖のそれぞれから得られるF1集団に、変異(SNP)の蓄積の差があるかを検証する。
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