2019 Fiscal Year Annual Research Report
光干渉断層画像化法を応用した生殖細胞インテグリティ評価技術の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Ensuring integrity in gametogenesis |
Project/Area Number |
19H05239
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
阿部 宏之 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10375199)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光干渉断層撮影 / 卵巣 / 卵母細胞 / 発生 / 生殖医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
光干渉断層画像化法(オプティカル・コヒーレント・トモグラフィー:OCT)は、弱い近赤外光を生体に照射し、生体試料内部からの後方散乱光を高感度に検出することで生体試料の断層画像を撮影する技術である。本研究では、OCTを応用した卵子インテグリティ評価技術を開発する。具体的には、光干渉信号の強度変化を利用するドップラーOCT技術を確立し、卵巣内に存在する卵胞及び卵子を非破壊的卵子のクオリティー(インテグリティ)予見できるシステムの開発を目的に、以下の研究を行った。 (a)超高速画像処理技術とドップラーOCT技術の開発:直径20 um以下の前胞状卵胞の画像計測を可能とするプローブ、高速ラインカメラとGPU(Graphic Processing Unit)を用いた超高速画像計測技術を構築することができた。このシステムを基盤に散乱光のドップラー効果を利用した微小卵胞3次元イメージングシステム(ドップラーOCT)を開発する事に成功した。 (b)卵巣内卵子クオリティー評価技術の開発:(a)で開発したドップラーOCTを用いて、マウス卵巣における卵胞及び卵子のイメージングを行った結果、卵子の細胞質において光散乱現象が観察された。この光散乱現象に着目し、種々の生理的条件下における卵子において光散乱の時間的変化を解析したところ、卵子の生物活性と光散乱現象に相関関係があることが示唆された。 (c)生物学的解析によるドップラーOCTシステムの有効性評価:卵巣のサイズや表層組織の透明度の違いによる画像撮影精度を比較検討するために、マウスなどの比較的透明度の高い卵巣と大型で厚い皮層組織をもつウシ卵巣を用いて画像撮影精度の評価を行った。その結果、ウシにおいても卵胞と卵母細胞のイメージングが可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のタイムドメインOCTでは直径20 um以下の前胞状卵胞の画像計測が困難であった。本研究では、これを解決するために高速ラインカメラとGPUを用いた独自の超高速画像計測技術を構築した。さらに、光干渉信号の強度変化を利用するドップラーOCT技術を導入した結果、従来法では検出できなかったマウス卵巣内の一次卵胞のイメージングに初めて成功した。さらに、ドップラーOCTの特性を活かすことで、卵細胞質特有の高輝度光散乱現象を捉えることができた。生物学的解析の結果、この高輝度光散乱は卵母細胞の生物活動によって生じることが示唆されたことから、卵母細胞のクオリティー評価の指標として可能性が期待される。以上、現在まで予定通り研究が進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに開発したドップラーOCTシステムを利用し、マウス卵巣内に存在する原始卵胞から胞状卵胞までの全ての発生段階の卵胞の検出を試みる。特に、卵細胞質で検出される光散乱現象の本質の解明を試みる。具体的は、種々の生理条件下における卵子の解析、細胞内物質移動に関与する微小管機能の阻害実験糖を行う予定である。また、光透過性の低いウシ卵巣へのドップラーOCT技術の応用も進める。
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Research Products
(16 results)