2019 Fiscal Year Annual Research Report
生体内ニューロン分化過程におけるクロマチンポテンシャルの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Chromatin potential for gene regulation |
Project/Area Number |
19H05253
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 雄介 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (00645236)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ニューロン / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
発生過程において、幹細胞が機能細胞に分化する過程では、必要な遺伝子や不要な遺伝子のクロマチン構造が次々に変化し、その後の遺伝子発現を制御する。本研究では、生体内において神経幹細胞が成熟ニューロンに分化する過程で起こる様々なイベントについて、どのゲノム領域で形成されたクロマチンポテンシャル(オープンクロマチン領域)が、その後どのように遺伝子発現に影響し、最終的にニューロンの機能にどういった影響を与えるか、を明らかにすることを目的とする。 脳の中心素子であるニューロンは神経幹細胞から産生されるが、その分化課程は脳室帯から脳表層への長距離の移動に始まり、その後外界からの刺激などに応じて、長く複雑な神経突起形成やシナプス形成などの大きな機能的、形態的な変化を伴う。この過程において、申請者は約2万ある遺伝子のうちおよそ8千もの遺伝子が有意に発現変化することを明らかにした。 本年度は、独自に開発した生体内ニューロン分化過程を追跡する手法を用いて深層ニューロンをラベルしDNase-seqを行った。その結果、成熟ニューロンで発現する遺伝子は未熟ニューロンの段階ですでにオープンクロマチン状態を形成していることを明らかにした。さらにニューロン分化でオープンになる遺伝子座を神経幹細胞で抑制する因子の候補を挙げることができた。 この研究により、ニューロンがその昨日を獲得するクロマチン基盤の一端を明らかにすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
神経幹細胞からニューロンに分化する過程におけるクロマチン構造解析を実施することで、ニューロンがその機能を獲得するクロマチン基盤を明らかにすることができた。クロマチン構造が制御する遺伝子転写は細胞の機能発現の最初期段階であることから、この結果は脳で最も重要な働きを司るニューロンの機能発現のメカニズムの際初期段階を明らかにしたと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは、1日ごとにニューロンの分化過程を追跡してきたが、ニューロンはその分化の最初期段階では数時間単位で細胞の性質が大きく変化する。そのため、ニューロン分化過程を真に明らかにするためには、現在の実験系よりもさらに時間解像度を上げる必要がある。 そのために、今後は単一細胞でのクロマチン構造を明らかにできるシングルセルATAC-seq解析を実施する。そして、数時間単位で変化するニューロンの性質を制御するクロマチン基盤を明らかにする。
|
-
[Journal Article] Protective role of HMGB1 in keratinocytes in skin inflammation by maintaining chromatin modification2021
Author(s)
Naoyuki Senda, Hideyuki Yanai, Sana Hibino, Lei Li, Yu Mizushima, Tomomitsu Miyagaki, Mai Saeki, Yusuke Kishi, Sho Hangai, Junko Nishio, Makoto Sugaya, Tadatsugu Taniguchi, and Shinichi Sato
-
Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 118
Pages: e2022343118
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
[Journal Article] Setd1a Insufficiency in Mice Attenuates Excitatory Synaptic Function and Recapitulates Schizophrenia-related behavioral abnormalities2020
Author(s)
Kenichiro Nagahama, Kazuto Sakoori, Takaki Watanabe, Yusuke Kishi, Keita Kawaji, Michinori Koebis, Kazuki Nakao, Yukiko Gotoh, Atsu Aiba, Naofumi Uesaka*, and Masanobu Kano*
-
Journal Title
Cell Reports
Volume: 15;32(11)
Pages: 108126
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-