2019 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造転移の統計物理学
Publicly Offered Research
Project Area | Chromatin potential for gene regulation |
Project/Area Number |
19H05275
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川口 喬吾 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (00787319)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞集団運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞分化現象の離散性や不可逆性といった特徴は細胞種や生物種を超えて普遍的に観察されているが、その物理的要因はいまだ謎につつまれている。本研究では、クロマチンの構造変化の物理的性質そのものが細胞分化現象の離散性・不可逆性と密接関わっている可能性を検証すべく、統計物理学によるモデル研究とデータ解析の研究(目的1)と、培養細胞実験を用いた分化実験を行う(目的2)。
目的1に関してはわれわれは、クロマチン構造変化の単純化された理論モデルを考え、その凝集転移の性質について調べた。クロマチンのモデルとしては、ヌクレオソーム一つや数個をモノマーとみなしたポリマーのダイナミクスを考え、特にポリマーが熱ゆらぎにより構造変化をするのと同時にポリマー上の修飾パターンも確率的に変化しうるモデルを解析した。その結果、ポリマーの運動と修飾パターンの変化が協同することで、クロマチン構造のクローズドとオープンの状態がon/off スイッチのように離散的な状態を取りうることを示した。具体的には、 磁性体のモデルをポリマーに拡張した理論から出発し、その平均場自由エネルギーを導出することで、ランドスケープを導出することができた。
目的2に関しては、レチノイン酸によって不可逆的にneutrophil様細胞に分化を誘導することのできる培養細胞系を用いて(HL60)、運命決定の瞬間とコンパートメント変化の間の相関を調べる実験系を立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1に関して理論研究の土台作り(論文出版)が完了し、目的2に関しても予備実験を終えており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
目的1に関して、有限サイズでコンパートメント変化がとどまる原理について調べる。具体的には、化学自由エネルギーを使った非平衡な修飾ダイナミクスがある場合の有効理論構築を目指して、MDシミュレーションも用いて研究を進める。
目的2に関しては、姉妹細胞での運命決定の相関がある時間帯での一細胞解析や、核内イメージングの時系列と運命決定先の同時測定を行うことを目指す。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] A large pool of actively cycling progenitors orchestrates self-renewal and injury repair of an ectodermal appendage.2019
Author(s)
Sharir Amnon, Marangoni Pauline, Zilionis Rapolas, Wan Mian, Wald Tomas, Hu Jimmy K, Kawaguchi Kyogo, Castillo-Azofeifa David, Epstein Leo, Harrington Kyle, Pagella Pierfrancesco, Mitsiadis Thimios, Siebel Christian W, Klein Allon M, Klein Ophir D
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Journal Title
NATURE CELL BIOLOGY
Volume: 21
Pages: 1102--1112
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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