2019 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖ノンコ―ディングRNAが制御する個体発生とヘテロクロマチン形成メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Chromatin potential for gene regulation |
Project/Area Number |
19H05279
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 慎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10397664)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / クロマチン / Long non-coding RNA / X染色体の不活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の発生に必須なX染色体の不活性化(XCI)は、エピジェネティックな現象であり、ヘテロクロマチン形成による遺伝子発現制御を理解するために良いモデルである。その制御はヒストン修飾や核内構造といったクロマチン状態を決める因子として、Xistと呼ばれるタンパク質を作らない長いnon-coding RNA (lncRNA)が重要な機能を持つと考えられている。クロマチン制御におけるlncRNAの重要性が注目される一方、Xistの自体の発現制御や不活性化に関する解析は進んでいない。我々は独自に開発した Ftx lncRNA ノックアウトマウスを用いて動物及び細胞レベルで、Xistの発現制御およびヘテロクロマチン形成を介した不活性化X染色体制御メカニズムの解明を目指している。 我々が作製したX染色体上にあるFtx lncRNAのKOマウスは、XCIの異常を示し雌のみで眼球形成に異常が現らわれる。我々はこれまでKOマウスでXCIに異常が起こることを、RNAFISHやDNAマイクロアレイによる発現解析で明らかにしたが、その分子メカニズムは未知の点が多い。今回、我々は、FtxKOマウスを用い、①FtxがXistの発現を上昇させる作用があること。②さらにその作用はcisに働くこと、③Ftxはランダム不活性化の制御には大きな影響を持たないこと。を明らかにした。今後、個体で見られる表現型と、ヘテロクロマチンを含むエピジェネティクス異常の関係を明らかにし、将来的にヒト遺伝性疾患の病因解明につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主にFtx KOマウスを用いながら、XCIメカニズムについて解析を進めている。これまでは、概要に記載の通りおおむね順調に進んでいる。ただし、研究期間1年目の終盤で、新型コロナウイルスが広がり、動物飼育室の施設運営が困難になった。実験に用いるマウスの維持が難しく、頭数削減などの対応で何とか凌いだが、引き続きコロナウイルスとの共存を考え、今後の研究を調整する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響で今後、動物飼育施設の管理状況が予測できない状況である。遺伝子改変動物は本研究を遂行する上で必須であるが、それ以外に培養細胞を用いるアプローチも合わせ、課題に取り組む計画を立てている。また、ヒト遺伝性疾患についても解析を行う計画を進めている。
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Remarks |
新年度から産総研は改組があり、申請者の所属名称が創薬分子プロファイリング研究センターから細胞分子工学研究部門に変更になりました。これに伴い、最新の研究紹介のweb pageへのリンクが未完成です。できるだけ早く、産総研のページで最新の研究紹介を再開したいと考えています。
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Research Products
(5 results)