2019 Fiscal Year Annual Research Report
ubiquitin-selective recognition and labeling based on macromolecular self-assembly
Publicly Offered Research
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
19H05288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北之園 拓 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (50755981)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機化学 / 高分子 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
小分子による酵素表面の化学修飾では特定のタンパク質表面を選択的に対象とすることが難しいものの、リガンドに対する結合部位を持つタンパク質を標的として内在的な高いリガンド認識能に立脚した化学修飾が開発されている。一方でユビキチンのように分子量の小さいタンパク質に対しても汎用的に応用可能な方法として、本研究課題では鋳型ポリマー法の確立を目指している。化学合成したヘテロポリマーとの非共有結合性相互作用を介した広い面による吸着を基盤として、タンパク質の選択的な吸着がどの程度可能なのか検討を行った。まず問題点の把握と評価系の確立が必要であることから、血清アルブミンをモデルタンパク質とした。剛直な構造で多くの電解質イオンが結合するなど数多くの小分子リガンド群が知られていることに加え、コストパフォーマンスに優れているのが特徴である。モノマーの種類と混合比率を揃えた上で、架橋剤を0.05%混入させて有機溶媒中、ランダム重合を行うことで得られるゲル状のポリマー、懸濁重合によって得られるナノ粒子ポリマー、架橋剤非存在下RAFT重合によって得られる直鎖型ポリマーをそれぞれ調製し、紫外吸光高度法によってポリマーのBSA吸着能を評価した。直鎖構造では吸着能は劣るものの、平均分子量や分子量分散度によって性能は変化することが分かった。直鎖状での吸着能を向上させるべく、表面電荷や疎水性、表面残基などを認識することのできる機能性モノマーのライブラリー化が必要である。そこで上に挙げた種々の機能性モノマー合成に加え、定量性評価における複数指標化を目的とした蛍光性分子含有モノマーの合成、また選択能強化を目的としたキラルモノマー合成のためこれまでの知見を活用した反応系設計による反応開発を行うなど、それぞれ合成を進めている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内での応用など実用面を考慮して水溶性を担保したポリマーを合成しようとすると、最終的な収量や精製操作に大きく支障が出ることが判明し、ライブラリー構築にあたりポリマー化の段階では脂溶性/水溶性のバランスや分子量平均、分子量分布を見極める必要がある。そこで機能性モノマーの構造的、化学的な多様化が戦略として最も効果的であることと考え、不斉中心を有するものなど様々な機能性モノマーの合成に着手することができた。再現性や実用面を考慮すると複数指標化が望ましく評価系の確立にも時間がかかること、また最適化すべきパラメータが無数にあることも踏まえ、まずはポリマー合成における技術基盤の整備とライブラリー化を優先している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ライブラリー構築に向けて機能性モノマーのグラム単位での合成とポリマー精製法、特性評価を進める。評価系については、古典的な手法に加え、共同研究体制によって熱量測定、表面プラズモン共鳴分析を活用することも考えている。
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Research Products
(1 results)