2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of small chemical compounds that specifically inhibit USP-family deubiquitinating enzymes.
Publicly Offered Research
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
19H05292
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 宏隆 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (70432804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脱ユビキチン化酵素 / USPファミリー / DUB阻害剤 / タンパク質アレイ / コムギ無細胞タンパク質合成系 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱ユビキチン化酵素(DUB)は、ユビキチン化を介した細胞応答を負に制御する重要な因子である。申請者は、全DUBの半数以上を占めるUSPファミリーのDUB(以下、USP)に高度に保存された領域に結合し、USPのみを特異的に阻害するユニークな低分子化合物Subquinocinを取得している。そこで本研究では炎症・免疫応答やタンパク質分解に重要な役割を担うUSP14, USP15, CYLDの3種のUSPを解析対象として、Subquinocinの構造展開により、それぞれのUSPに高い特異性を示す低分子化合物の開発を行う。さらに、特定のUSPに特異的な阻害剤を創出できる阻害剤のDUB選択性評価プラットフォームの構築を目指す。このSubquinocinについては、当該年度に学術論文として発表した。さらに、研究協力者の本間 光貴先生との共同研究により、Subquinocinや、USP14, USP15に対して阻害効果を示すことが報告されている化合物構造をもとに、東京大学創薬機構が保有する全ての低分子化合物より、In silicoスクリーニングを行った結果、これらの化合物の類縁構造を示す約320種類の候補化合物が得られた。 また、本研究のもう一つの目的であるヒトのほぼ全てのDUBを対象としたDUB阻害剤の選択性評価パネル作製を進めた。H 31年度は、これまでにタンパク質合成に失敗したDUBや、活性が認められなかったDUBについて、合成方法やアッセイ条件の最適化を図ることで、10種類について活性型の組換えタンパク質の合成に成功しており、保有する活性型のヒトDUBは全部で80種類となった。選択性評価のアッセイで用いる基質の改良やアッセイの最適化を行っており、現状では選択性評価パネルとして用いることが可能なDUBは40種類程度であるが、今後大幅に増えることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であるDUB選択性評価パネル作製については、新規基質のデザインはすでに完了済みであり、また新たに10種類の活性型DUBの合成に成功している。新型コロナによる大学の閉鎖などで多少の遅れは生じているものの、概ね計画通りに進んでいる。 一方の化合物展開に関しては、In silicoスクリーニングは完了したものの、Subquinocinの論文化に時間と労力がかかり、当初の予定より遅れ気味である。加えて、現在東京大学創薬機構が閉鎖になっているため、実際の阻害剤アッセイが未着手である。ただ、Subquinocinの論文化は終了しており、また化合物を入手次第、アッセイが遂行可能な状況にある。本学および創薬機構の閉鎖が解除され次第、すぐにアッセイを実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度にin silicoスクリーニングで得られた化合物320種類を東京大学創薬機構より分与頂き、CYLD,USP14,USP15の3種類のDUBに対する阻害活性を調べる。さらに、阻害活性が高かった化合物について、平成31年度に作製した評価パネルを用いて、DUB選択性を調べる。これらの化合物は、培養細胞を用いて細胞毒性を評価すると共に、シグナル伝達やタンパク質分解など、それぞれのUSPが関与する細胞機能の阻害評価を行う。得られた化合物の構造情報と、in vitroと細胞でのそれぞれのUSPへの阻害効率をもとに、選択性や阻害効率、細胞透過性をより向上させた化合物をin silico解析によりデザインする。これらの化合物については、市販化合物は購入し、購入不可能なものについては愛媛大学にて有機合成を行う。ベース化合物であるSubquinocinのin vitroでのIC50は30μMであり、阻害活性は比較的弱いことから、これを少なくとも数μM以下まで下げた化合物の取得を目標する。阻害効果が高い化合物が得られた場合には、化合物とUSPとの共結晶構造の取得を目指し、候補化合物とUSPの結合様式をもとに、in silico解析により、選択性や阻害効率をさらに向上させた化合物のデザインを行う。 これらの結果をもとに、目標とするCYLD,USP14,USP15のそれぞれを特異的に阻害する低分子化合物の取得を目指す。
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Research Products
(10 results)