2019 Fiscal Year Annual Research Report
高強度化学繊維による高耐久柔軟布の開発とソフトロボット機構への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Soft Robot: interdisciplinary integration of mechatronics, material science, and bio-computing |
Project/Area Number |
19H05326
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 玄 東京工業大学, 工学院, 准教授 (70395135)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ソフトロボット / 高強度化学繊維 / 布 / 機械特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 高強度柔軟布として市場で入手可能なパラ系アラミド繊維布(平織・綾織・ニット3種),ポリアリレート繊維布(平織),PBO繊維(綾織)を購入し,引張試験により荷重‐ひずみ線図,最大張力を計測するための実験装置を整えた.高強度化学繊維布は非常に高い引張力で破断するため,布端部を強力に固定するための治具が必要である.これらを購入・試作し,現有の引張試験機で最大張力を計測した.一例としてポリアリレート繊維布では幅55mmの布の破断張力は23kN程度であることを確かめた. (2) 高強度柔軟布の繰り返し曲げ耐久性を評価するため現有のロープ用繰り返し曲げ試験機を改良し,布に対して繰り返し曲げ試験が可能な装置を試作した.またロボット機構要素としての評価基準を策定するため,布の性能を評価する各種工業規格の文献調査を行った. (3)ソフトロボットハンド機構の開発を行った.具体的には,空圧を印可することで柔軟に屈曲するロボットハンド機構を試作するとともに,その指の間に伸縮可能な膜を貼り付けることで,把持対象物を面で把持することのできる機構を提案し,試作によりその有効性を明らかにした.膜構造があることにより柔軟な把持対象物を面で掴むことができ,把持の際の接触圧力を下げることが出来た.これにより例えば食品などの柔軟で壊れやすい物体を傷つけることなく把持できる可能性が示された.また高速搬送を模した加減速を印可した際にも,指の間から把持対象物が滑り落ちることを防ぐことができ,工業的応用の観点からの有用性も明らかにした. また,伸縮可能な柔軟布に予め張力を印可した状態で,その上にFDM方式の3Dプリンタでプラスチックを印刷することで,張力除荷後に様々な形状に変形する構造を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は系統的な試験を行うための前段階として実験装置を準備することを主眼とした.現在までに布の荷重-ひずみ線図ならびに最大張力を計測することが可能な試験装置と,繰り返し曲げが可能な試験装置の2種類の準備を完了することが出来た.またソフトロボットとしての評価基準について新学術領域の会議で意見交換することにより方向性を定めることが出来た. また,ソフトロボットへの具体的な応用例として柔軟食品の把持を行うソフトロボットハンドを試作し,特に膜構造を有することでより確実で物体に優しく把持することが可能であることを原理試作により明らかにすることが出来た. 加えて布と3Dプリンティング技術を組み合わせることで,3次元的な曲面を容易に作り出すことのできる手法を新たに検討した.本手法は当初計画にはなく新たに発案した方法であり大きな進捗であったと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度までに構築した2種類の実験装置を用いて,各種布の評価を系統的に進めてゆく.またソフトロボット独自の評価基準として,高い張力を印可しつつ屈曲変形する際の耐久性を計測可能なように,既存の実験装置を改良する.これによりソフトロボットならではの独自の性能評価法を確立することを目指す. ソフトロボットへの具体的応用としては,高強度化学繊維布を用いた面による把持機構を実現する.空圧アクチュエータのみならずワイヤ駆動方式など他の駆動法も検討する. さらに延びの少ない柔軟布を用いて,大変位を生成可能なベルト駆動機構について,その特性や優位性を理論的に検討するとともに,駆動系としての性能を試作機により評価する予定である.これらの試作には前年度に購入した3Dプリンタを有効に活用することで効率的に試作を進める予定である.
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Research Products
(7 results)