2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of low power consumption thermally stimulated lightweight coiled actuator with massive displacement and high output
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Soft Robot: interdisciplinary integration of mechatronics, material science, and bio-computing |
Project/Area Number |
19H05332
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
林 靖彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50314084)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 複合繊維コイルソフトアクチュエータ / カーボンナノチューブ紡績糸 / 直鎖状低密度ポリエチレン糸 / ジュール熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,2層カーボンナノチューブ(CNT)紡績糸を熱外部刺激源とし,細い結晶性ポリマー糸と複合化し温度変化による伸長収縮動作をメカニズムとする,低消費電力で大きな伸縮性,高い出力,高い運動適応能力を有し,重くかさばる金属線を熱源に使わない,超軽量複合繊維コイルアクチュエータを実現に向け研究を実施した.具体的には,以下の2つの研究課題を実施した. 【研究1】低消費電力で大変位・高出力を実現する結晶性ポリマー材料の開発 この研究では,直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の結晶部と非晶部が混在した微少繊維の集まりから構成される結晶性ポリマー糸の,糸を延伸すると結晶部間をつなぐ非晶質タイ分子のエントロピー弾性を制御して熱収縮を効果的に引き起こす構造の検討を行った.そして,溶融紡糸法によりLLDPEの紡糸(繊維化)条件を最適化して,糸径を制御したLLDPE撚糸の作製とその物性評価を行い,【研究2】のアクチュエータの作製につなげた. 【研究2】ポリマー糸/CNT紡績糸との複合繊維コイルアクチュエータの開発 この研究では,長尺・高密度2層CNTアレー基板からドライプロセスで作製する,糸径30um以下とCNT紡績糸と,【研究1】で作成したLLDPE糸からなる,熱の散逸を防ぐ構造をもつ複合繊維コイルアクチュエータを作製した.印加電流によりCNT紡績糸内で発生するジュール熱による温度変化により,アクチュエータとして動作することを確認し,伸縮量,最大発生応力,仕事効率を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画として,①ポリマー糸作製時に,収縮を担うタイ分子が配向し結晶部間をつなぐ構造をとるポリマー材料の設計・合成技術を開拓,②熱の散逸を防ぐ究極的な構造を提案・作製し,熱をアクチュエータ内に閉じ込める構造を検討することが大きな目標となっていた.①の目標を達成するために,マテリアルズ・インフォマティクス手法も活用し,直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の構造を詳細に検討し,溶融紡糸法糸径30umのLLDPE糸を作製した.目標②を達成するために,カーボンナノチューブ(CNT)紡績糸とポリマー糸を複数束ねたマルチフィラメント構造1および2を提案し,CNT紡績糸とLLDPE糸を複数束ねたマルチフィラメント構造を提案し,CNT紡績糸からLLDPE糸に効率的に熱を伝える構造作製技術を確立した.これらの成果は,当初目標を達成するもので,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,引き続き【研究1】低消費電力で大変位・高出力を実現する結晶性ポリマー材料の開発,【研究2】ポリマー糸/CNT紡績糸との複合繊維コイルアクチュエータの開発を継続して実施する. また,【研究3】熱源一体ポリマー糸/CNT膜コイルアクチュエータの開発を開始する.【研究2』では,熱刺激源としてCNT紡績糸を用いたが,本研究は,熱源を一体化したポリマー糸/CNT膜(紡績糸では無い)/絶縁層からなる3層のコアシース構造(熱源一体繊維)を,電界紡糸装置の電界紡糸ノズルを改良した三重管ノズルにより作製し,単一もしくは複数の熱源一体繊維をコイル状にしたアクチュエータを作製する.作製後は,様々な通電条件下(外部熱刺激制御)での変位,仕事率そして繰り返し熱外部刺激による動作安定性を評価する予定である.
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Research Products
(6 results)