2019 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島人で交雑後特異的に適応進化した精神的特性・食物に関連する遺伝子の検出
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data |
Project/Area Number |
19H05340
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90204734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒトゲノム / 選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本人に加え、日本人と特に遺伝的に近い中国人や韓国人のゲノム配列データを比較対象として用いることで、日本人集団独自に正の自然選択を受けて分化した遺伝子の検出を試みた。ゲノムデータには1000 Genomes Projectの常染色体の多型データから日本人(JPT), 中国人(CHB), ヨーロッパ人(CEU)の3集団内, 韓国人のゲノムデータを用いた。自然選択の検出には、PBS(Population Branch Statitics)を用いて検出した。また、有意水準設定のため、Nakagome et al. (2015)をもとに、コアレッセントシミュレーションを実施した。これまで日本人のみをもちいて自然選択が検出された遺伝子を除くと、28の遺伝子が新たに検出された。検出された遺伝子の中にはがん、循環器系疾患、精神・神経疾患などの多彩な疾患のリスクに関係するものや肌・髪・目の色に関係するもの、食物代謝に関わるものなどが含まれていたが、特に、統合失調症に関する遺伝子、前立腺癌、痛風に関する遺伝子が含まれていた。他の研究(Fujito et al.2018;Speidle et al. 2019)らも日本人は統合失調症のリスクを下げる方向に自然選択が働いているとしており、今後の解析が必要である。また、日本では、中国や韓国とちがって、赤肉食の習慣がなく、そのことと前立腺癌、痛風に関する遺伝子の進化と関連があると予測された。また、日本人の不安傾向の進化を探るためVMAT1遺伝子の多型の日本人での頻度と、VMAT1多型が行動に与える影響を調べるために、遺伝子編集マウスの行動実験の準備をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3集団のゲノム配列を用いて、ヤマト人独自分化した遺伝子を検出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
縄文人および弥生人の古代人ゲノムが利用可能になり、縄文人から現代人にいたる過程で進化した遺伝子を検出する予定である。また、マウスの行動実験を行うことにより、VMAT1変異の行動への影響を調べることで、日本列島人の不安傾向の進化を考察する。
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