2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Yaponesian diet habt by proteomic approach
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data |
Project/Area Number |
19H05345
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西内 巧 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (20334790)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺跡出土品 / コラーゲン / プロテオミクス / 植物遺体 / 土器付着物 / 歯石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、4つの異なるタイプの出土試料(出土動物骨、植物遺体、歯石、土器付着物)について、プロテオーム解析の実験系を確立し、解析を進めることにより、ヤポネシア人の食生活の復元を目指す。本年度は、出土動物骨及び植物遺体を中心に解析を進めた。出土動物骨に含まれるコラーゲンのアミノ酸配列同定については、タンパク質を消化するプロテアーゼについて検討を行い、トリプシン(タンパク質を構成するアミノ酸のうち、リジンとアルギニンを切断)とLys-C(リジンのみを切断)を用いた方法で、最も良好な結果が得られた。また、コラーゲン溶出後に還元アルキル化とプロテアーゼによる消化を同時に行うことで、サンプル調整の時間を大幅に短縮し、COL1A1及びCOL1A2の1から数アミノ酸残基の僅かな違いをもとに、出土動物骨の判別を行うことができた。また、植物遺体については、イネ果実(炭化米)等の4種の試料から、限外濾過フィルターを用いて低分子化合物等の除去によりタンパク質を精製し、フィルター上でトリプシン消化を行うFASP法を試みた。比較的低分子の限外濾過フィルターを用いても、限外濾過の通過溶液にタンパク質がかなり含まれることから、歯石等で用いられるFASP法を適用することは難しく、タンパク質の同定数の改善も見られなかった。そこで、限外濾過を用いずにアセトン沈殿を改良した方法でタンパク質を精製して、溶液中でトリプシン消化を行う方法を試したところ、ほとんどの試料でFASP法よりも同定数が改善された。しかし、一部の保存状況の悪い試料については、いずれの方法でもタンパク質の同定数が少ない場合もあり、代謝物等の他の分析についても並行して検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出土動物骨の残存コラーゲンのアミノ酸配列同定では、実験工程を再検討することにより、従来よりも短い時間で、1から数アミノ酸の違いでも検出可能な実験系を構築することができた。植物遺体については、FASP法による解析が難しいことを明らかにし、異なる実験系について検討を進め、改善することに成功したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
出土動物骨と植物遺体は構築された実験系で、新たな出土試料についての解析に具体的に取り組んで行きたい。また、土器付着物と歯石についても実験系の構築と改善に努め、4つの異なる出土試料を用いたプロテオーム解析の実験基盤を完成させる。
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