2019 Fiscal Year Annual Research Report
古人骨新資料発見への取組と既出土人骨の資料化による南九州南西諸島域の人類史の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data |
Project/Area Number |
19H05352
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Research Institution | Kagoshima Women's Junior College |
Principal Investigator |
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 教授 (70264439)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 南九州 / 南西諸島 / 人類史 / 既出土人骨 / 年代測定 / 成川遺跡 / 小浜遺跡 / 発掘調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
トカラ列島宝島(鹿児島県十島村)の大池B遺跡および大池C遺跡から、1993年ト1994年に出土した人骨について、形態学的分析を行った。大池B遺跡1号熟年女性人骨の頭蓋は短頭性と低顔性,体肢骨では全体的な長径の短さと上腕の頑丈さが目立つ。大池B人骨の特徴は琉球列島先史人に共通するものである。大池C遺跡1号石棺出土人骨は、再葬人骨で、解剖学的位置関係を保っているのは胸椎だけである。再葬されていたのは1体分であった。頭蓋から、手の指先、足の指先まで、各骨がよく集められている。所属年代は,現在のところ不明である。大池C遺跡 1号壮年女性人骨は、脳頭蓋が前後に長く,高・狭顔でと突顎が強く、高身長など,琉球列島や日本本土の中世人骨と共通する特徴を多く持つ。縄文人骨である大池B遺跡 1号人骨の特徴とは異なる。 南九州・奄美群島域の既出土人骨資料の年代測定を行った。計画研究B01班の協力により、種子島の広田遺跡出土人骨、南九州出土の縄文人骨(出水貝塚人骨と柊原貝塚人骨)、徳之島の縄文人骨(面縄第1貝塚人骨、トマチン遺跡人および下原洞穴遺跡人骨)、喜界島の花良治地区岩陰出土人骨、与論島の赤崎鍾乳洞採取人骨、および宮崎県島内地下式横穴群出土人骨の年代測定や食性分析を行った。 鹿児島県指宿市成川遺跡の発掘調査:2019年8月から9に、成川遺跡の発掘調査を実施した。新たな墓域の広がりを確認。2基の古墳時代の土壙墓を検出。1号墓は人骨の保存状態は不良。2号墓は頭蓋形態の確認は可能であった。調査終了後、出土した人骨、土器、鉄器等の1次資料化の作業を行っている。 鹿児島県西之表市小浜遺跡の発掘調査:2019年12月に、小浜遺跡(種子島・西之表市)2004-2号墓の発掘調査を行い、保存良好な中世人骨資料1体(男性・壮年)が出土した副葬品はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
鹿児島県指宿市の成川遺跡と同県西之表市の小浜遺跡の発掘調査を行ったが、両遺跡とも古人骨が出土した。そのため、南九州本土の古墳時代人と南西諸島の中世人に関する古人骨研究が人骨形態からも、DNA研究からも、また年代測定研究からも進展する可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、既に出土している南九州から奄美群島にかけての地域の所属年代不明古人骨資料について、年代測定を行ない古人骨研究に用いることができるよう古人骨資料の1次資料化に努める。 成川遺跡(鹿児島県指宿市:弥生~古墳時代)の発掘を行い、古墳時代の南九州の人々に形質変異があったのか、形態と遺伝子分析から検討し、縄文人、渡来系弥生人や種子島広田弥生人など南西諸島先史人との繋がりを追求する。また、ヨンマイ洞穴(徳之島:鹿児島県大島郡伊仙町:中世)の発掘を行い、南西諸島北部圏の中世人について検討を行う。
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Research Products
(9 results)