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2019 Fiscal Year Annual Research Report

湿熱回復現象から紐解く成長応力発生メカニズムの解明

Publicly Offered Research

Project AreaElucidation of the strategies of mechanical optimization in plants toward the establishment of the bases for sustainable structure system
Project/Area Number 19H05360
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

松尾 美幸  名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (70631597)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
Keywords湿熱回復 / 成長応力発生機構 / 引張あて材
Outline of Annual Research Achievements

コナラおよびケヤキを試料として,引張あて材の湿熱回復現象の性質を明らかにするための実験を行なった.
コナラの引張あて材部から作製した切片を熱水処理すると収縮するが,あて材切片中の水分をエタノールやジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に置換してから加熱すると収縮しなかった.その後,有機溶媒を水に再度置換してから加熱すると収縮した.また,有機溶媒と水との比率を様々に変えた混合液で置換して加熱したところ,水の割合が高いほど収縮率も高くなった.このことから,引張あて材部の収縮には非晶領域の水分が重要な役割を果たしていると考えられ,それは有機溶媒でマスクすることにより収縮できなくなることがわかった.
また,ケヤキの試験体について,40℃~80℃の様々な温度での温水処理による湿熱回復による収縮量を測定した.その結果,収縮速度に明らかな温度依存性があり,40℃程度の低い温度でも長期間かけて収縮することがわかった.温度依存性から収縮に必要な活性化エネルギーを算出することができた.
さらに,ケヤキ丸太2本とケヤキ立木4本の表面成長応力を測定し,湿熱回復実験用の試料を採取した.今後,表面成長応力と湿熱回復の対応を明らかにするために試験体を作成予定である.この過程で,ケヤキ立木の樹幹内残留応力のデータも同時に得ることができ,表面成長応力のみではなく樹幹内の応力がどのように形成されるかについても有用な情報になると思われた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度行う予定であった実験については概ね終了することができた.
春に予定していた試料採取が秋になったため,年度内に成長応力と湿熱回復の関係を明らかにすることはできなかったが,樹間内の応力分布など本研究テーマに関わる新たな情報も取得することができた.

Strategy for Future Research Activity

最終年度に当たるR2年度には,次の項目を進める予定である.
湿熱回復前後のG層の観察を,原子間力顕微鏡(ナノ~ミクロレベル),レーザー顕微鏡(ミクロレベル)を用いて行う.また,エックス線回折によりセルロース結晶領域における変化を確認する.
昨年度に引き続き,G層の非晶領域の水分を有機溶媒やカチオン界面活性剤に置換する実験について,溶媒の種類を増やしておこなう.
また,試料採取の過程で得られた樹形情報と引張あて材の分布状況についても,成長応力発生のメカニズムにつながる重要情報である可 能性が明らかになったことから,あて材分布把握の手法確立に向けて実験を進める.

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] ケヤキ大径材の表面成長応力および樹幹内残留応力の分布2020

    • Author(s)
      松尾美幸, 陳碩也, 吉田正人, 山本浩之, 亀山直央
    • Organizer
      第70回日本木材学会(鳥取大会)

URL: 

Published: 2022-12-28  

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