2019 Fiscal Year Annual Research Report
トライコーム依存的な植物免疫における力学的特性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of the strategies of mechanical optimization in plants toward the establishment of the bases for sustainable structure system |
Project/Area Number |
19H05363
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野元 美佳 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教 (70825736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 植物免疫 / トライコーム / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は、葉面上に存在する毛状突起(トライコーム)を介して雨粒などの力学的刺激を感知すると、トライコームの周辺組織にカルシウムイオンの流入を引き起こし、植物免疫を活性化することをこれまでに明らかにした。トライコームの力学的特性を明らかにするために、単一トライコームにガラスキャピラリーを用いて力を負荷し、トライコームの抗力を求める実験系を確立した。 RNA-seq解析によって同定した力学的刺激応答性遺伝子群のプロモーター解析を行った結果、これらの遺伝子発現に関与している特定の転写因子を同定したので、実際に力学的刺激が候補転写因子のDNA結合能にどのような影響を与えるのかを評価するために、ChIP-qPCRおよびChIP-seq解析を行っている。 トライコーム依存的に生じるカルシウムウェーブの起動や伝播に関わる分子機構は未解明である。そこで、カルシウムウェーブの制御に関与する因子を同定するために、細胞内カルシウムイオン流入に関わると考えられるイオンチャネルおよび受容体ファミリーを候補分子とし、それらの欠損変異体を用いて力学的刺激誘導性遺伝子の発現レベルを調査している。発現レベルが野生型より有意に低下したいくつかの候補関連因子を同定しており、病原細菌に対する免疫応答の程度にも影響があることを確認している。また、同変異体においてカルシウムウェーブを観察するために、カルシウムプローブであるGCaMP3やYCnanoを導入した組換え植物を作出中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、トライコームが屈曲するための力を測定する方法を確立し、トライコーム依存的な免疫応答に関与する候補因子をいくつか同定した。既に、接種実験や変異体の作出にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
トライコームを屈曲させた時に、トライコーム基部より葉表面組織に負荷される荷重も測定する。次に、カルシウムイオンセンサーであるGCaMP3 を導入した野生型(Col-0)シロイヌナズナ、35S::GCaM3P/Col-0植物を使用し、トライコームに負荷した荷重と流入するカルシウムイオン量との関係も明らかにする。また、力学的刺激応答性遺伝子群の発現に関与する転写因子のChIP-qPCRとChIP-seq解析を進めることで、その分子機構を明らかにする。 トライコーム依存的に生じるカルシウムウェーブに関与する因子のスクリーニングを引き続き進める。作出中のカルシウムプローブであるGCaMP3やYCnanoを導入した組換え植物に対して、力学的刺激を負荷した際にカルシウムウェーブにどのような影響があるのか調査する。
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Research Products
(1 results)