2019 Fiscal Year Annual Research Report
葉の可逆的な構造変化を可能にさせる細胞・組織の力学バランスの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of the strategies of mechanical optimization in plants toward the establishment of the bases for sustainable structure system |
Project/Area Number |
19H05365
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野田 雄介 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70578864)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 萎れ / 水分生理 / 膨圧 / 変形 / 力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの植物は、水分条件に応じて可逆的に葉の角度を変えたり、萎れるという特性をもつ。このような可逆的な構造の調節は、環境条件に応じて、受光面積を調節し、過熱や過蒸散を避けつつ、生産を最大化させることができる。このような植物の構造を制御するメカニズムは、未解明であり、その解明は理学的価値だけでなく、工学で研究される「可変剛性材料」に応用できる可能性がある。
本研究では、葉の萎れに伴う構造の変化を理解するために、以下の研究を行った。(1)脱水に伴う葉の厚さ、長さ、幅の形状変化、(2)脱水に伴う葉の力学特性の変化。(1)の実験では、20種あまりの様々な植物の葉を用いて行った。脱水による変形には、種による大きな違いがあったが、一貫して、厚さ方向の変化が、長さや幅方向の変化よりも大きいことがわかった。また種による飽和含水率の違いが、種による形状変化の違いにおいて、重要であることがわかった。(2)に関しては、含水率の低下とともに曲げ剛性が大きく低下するが、その原因は、ヤング率の低下と断面二次モーメントの低下の両方によることがわかった。特に、飽和含水率から1割程度のわずかな低下で、ヤング率は大きく低下することから、膨圧の重要性が示唆された。これらの現象をより深く明らかにする実験が進行中である。
技術的な進展としては、マルチスペクトルレーザー変位計とxy自動ステージを組み合わせたシステムを構築し、これによって葉の変位と厚さをマイクロメータレベルの解像度で、面的に連続観測できるようなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに実験が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)脱水に伴う葉の変形や力学特性の変化に関するデータを充実させ、説得力の高い論文を執筆する。 (2)昨年度構築したレーザー変位計とxy自動ステージのシステムを使い、様々な葉について、変位と厚さの連続観測を行い、新規性の高いデータを得て、論文を執筆する。 (3)葉の可逆的な曲げ剛性の変化を表現する理論的なフレームワークの構築を目指す。
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[Presentation] ヒメツリガネゴケの環境ストレス下での応答2020
Author(s)
中澤誠, 横井真希, 藤田知道, 新濱梨奈, 浅野加杜己, 蒲池浩之, 唐原一郎, 久米篤, 小野田雄介, 笠原春夫, 鈴木智美, 嶋津徹, 半場祐子
Organizer
日本生態学会第68回全国大会
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