2019 Fiscal Year Annual Research Report
生体発動分子を利用した自己駆動型人工細胞の開発と理論解析による機能の最適化
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Engine: Design of Autonomous Functions through Energy Conversion |
Project/Area Number |
19H05393
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 牧人 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40609236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞運動 / アクトミオシン / アクティブマター / 人工細胞 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの動物細胞は細胞膜直下にコルテックスと呼ばれるアクトミオシンの網目構造をつくる。近年の研究で、コルテックスは細胞運動を駆動していることが明らかになりつつあるが、その仕組みの物理的理解はまだ進んでいない。そこで本研究では、生体発動分子の代表格であるアクトミオシンが、如何にしてマクロな細胞運動機能を創出するのか、その設計原理を解き明かすことを目標とする。
初年度は細胞サイズの油中水滴に精製アクトミオシンを封入し、膜直下にコルテックス構造が再構成される条件を検討した。さらに、コルテックスの収縮力によって人工細胞が一方向に進む条件を探り、その生化学的及び物理的な条件を明らかにした。
また、C02-2計画班の前多裕介氏と共に、カエルの卵抽出液を油中水滴を封入した人工細胞系を構築し、その中で形成される構造物の空間配置の対称性が液滴サイズに応じて破れることを見出た。数理モデルと分子摂動実験の組み合わせによって、現象を定量的に理解することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で予定していた、運動能の有した人工細胞の構築に成功し、論文出版への道筋が立ったから。また、C02-2計画班の前多裕介氏との共同研究が進展し、論文としてまとめることが出来たので(投稿中)。
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Strategy for Future Research Activity |
油中水滴の系をリポソームの系に変更し、リポソーム内壁にコルテックス構造を再構成する。コルテックスの収縮力を増大させ、細胞で観察されるブレブと呼ばれる膜突出が再現される条件を探ることで、膜変形に必要な最小限の構成要素を明らかにする。続いてリポソームを2枚のスライドガラスで挟むことなどによって、外界との摩擦を導入し、コルテックスの収縮と人工 細胞の前進運動との関係を探る。コルテックスの収縮力、外界との摩擦力と運動の関係を定量化し、粗視化モデルによるシミュレーションで現象を定性的に再現する。さらにC01班及びC02班との連携によって、アクトミオシンの収縮力がマクロな一方向性運動に変換される仕組みの定式化を行う。
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Research Products
(2 results)