2019 Fiscal Year Annual Research Report
ロドプシンを起動分子とした「化学・力学・光」エネルギー発動機構の理解と利用
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Engine: Design of Autonomous Functions through Energy Conversion |
Project/Area Number |
19H05396
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
須藤 雄気 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10452202)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロドプシン / エネルギー変換 / 生物物理 / オプトジェネティクス / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロドプシンは光エネルギーを吸収し、レチナールの異性化を介して化学エネルギーへと変換する。化学エネルギーは、タンパク質の構造変化として力学エネルギーに変換され、分子機能が発現する。また、ロドプシンは、蛍光を発する特性を有し、光エネルギーにも変換可能である。このように、本領域における『発動分子』の定義(外部エネルギーを別エネルギーに変えるもの)から、ロドプシンはまさに“発動分子”そのものと言える。このような背景のもと、本研究では、ロドプシンによる『光-->化学・力学・光』エネルギーへの変換機構の理解と光遺伝学的利用を行うことで、ロドプシン型『発動分子』の基礎学理構築を行うことを目的とした。
本年度は、以下に示す多様なロドプシンのマルチ『光-->化学・力学・光』発動機構(エネルギー変換)の理解を進めた。 さらに、これらを基盤に、分子機能(速度,収率,構造変化,生理応答,発光)の合理的改変の試みと光遺伝学への展開を行った。 1)『光-->化学』:多様なロドプシンに対し、“時間”分解測定(過渡吸収,ラマン・赤外)及び“空間”分解測定(ラマン・赤外,X線結晶構造,NMR)を行い異性化速度,量子収率,異性化に伴うレチナール及びタンパク質の構造変化を調べた。得られた定量的な数値とその比較から、『光-->化学』エネルギー変換の分子機構の理解を進めた。 (2)『光-->(化学)-->力学』:レチナールの異性化を引き金するロドプシンの構造変化,他分子との相互作用とその変化を、“時間”分解及び“空間”分解測定により明らかにした。加えて、生化学的・細胞生物学的解析を行い、構造と機能に関わる『化学-->力学』エネルギー変換機構を明らかにした。 (3)『光-->光』:定常蛍光分光法と各種時間分解分光法を組み合わせ、多様なロドプシンの蛍光特性の定量的比較解析と発光機構の解明を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始から、1年程度であるが、既に、多様なロドプシンの『光-->化学・力学・光』エネルギーへの変換機構の理解と光遺伝学的利用でインパクトのある成果をあげており、PANS誌1報,eLife誌1報,Editor's choice(J. Phys. Chem. B)1報を含む9報の原著論文を発表している。未発表のデータの取得も順調に進んでおり、15報程度を準備中である。これまで成果は領域内共同研究を含むものであり、さらに5件程度の共同研究が進展中である。このように本研究は、当初の計画以上に順調に進んでいるものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、計画以上に進展しており、今後とも引き続き本研究の柱である『光-->化学・力学・光』エネルギーへの変換機構の理解と光遺伝学的利用についての包括的な研究を進める。投稿中・準備中の成果についても、順次成果として発表できるように注力する。
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Research Products
(17 results)