2019 Fiscal Year Annual Research Report
人工的な疑似細胞内非平衡環境における並進型発動分子のエネルギー論
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Engine: Design of Autonomous Functions through Energy Conversion |
Project/Area Number |
19H05398
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
有賀 隆行 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授(特命) (30452262)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生体分子モーター / エネルギー変換 / 1分子計測・操作 / 非平衡物理学 / 生物物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自に開発した任意の外力を与えることの可能な1分子力学応答計測装置を用いて、細胞内部の環境を“人工的”にin vitroの系に構築する。並進型の発動分子であるキネシンの運動に伴うゆらぎと応答を、外部から人為的に与えたゆらぎと見分けながら計測し、その数理モデル解析を通じて、細胞内のような非熱的にゆらぎ、非常に混雑した環境下における並進型分子モーターのエネルギー論(エネルギーの入出力等)を、人工的な環境を用いて明らかにする。また、生体分子に限らず様々な並進型分子モーターの比較検討を通じて、「発動分子」一般がもつエネルギー変換機構の理解を目指すものである。 本年度は、細胞内部環境を模したアクティブな(非熱的な)ゆらぎを光ピンセットにより1分子のキネシンに与える実験系を構築し、その運動様式の変化の計測を行った。さまざまな確率分布形状をもつ非熱的なゆらぎを外力として与えることで、キネシンの運動に変化が見て取れた。その結果は、数理モデルを用いたシミュレーションでも再現できた。これらの新しい成果は、生物物理学会、分子モーター討論会、および、Molecular Engineの国際会議にて招待講演として口頭発表を行った上、原著論文として投稿する準備を進めている。 さらに、本研究の背景となるこれまでの成果と理論的基盤を解説した総説論文を、国内の生物物理学会誌と、国際誌であるBiophysical Reviews誌に筆頭かつ責任著者として発表した。 今後はまず上述の成果を論文として纏め、さらにより生きた細胞内環境に近い人工的な擬似的条件を構築・計測することで、実際にキネシンが働く環境である細胞内部でのキネシンのエネルギー入出力の理解を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、独自に開発した任意の外力を与えることの可能な1分子力学応答計測装置を用いて、細胞内部の環境を“人工的”にin vitroの系に構築する。並進型の発動分子であるキネシンの運動に伴うゆらぎと応答を、外部から人為的に与えたゆらぎと見分けながら計測し、その数理モデル解析を通じて、細胞内のような非熱的にゆらぎ、非常に混雑した環境下における並進型分子モーターのエネルギー論(エネルギーの入出力等)を、人工的な環境を用いて明らかにすることを目的としている。 本年度は、細胞内部環境を模したアクティブな(非熱的な)ゆらぎを光ピンセットによりキネシンに与えつつ、その運動様式の変化の計測を行った。複数の異なる確率分布形状をもつゆらぎを与えることで、キネシンの運動に変化が見て取れた。その結果は、モデルシミュレーションでも再現できた。 これらの新しい成果は、生物物理学会、分子モーター討論会、および、Molecular Engineの国際会議にて招待講演として口頭発表を行った上、原著論文として投稿する準備を進めており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、昨年度に得られた外力の非熱的なゆらぎに伴うキネシン運動の変化について定量的な計測とモデル解析を進めて、論文としてまとめて発表することを目標とする。並行して、より生きた細胞内環境に近い疑似環境条件として、通常のin vitro計測で用いられるよりも高い粘性の条件を設定し、アクティブなゆらぎによる運動様式の変化を計測する。そうして実現した擬似的な細胞内環境におけるキネシン運動によるエネルギー入出力の解析を通じて、実際にキネシンが働く環境である細胞内部でのキネシンのエネルギー論を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(8 results)