2019 Fiscal Year Annual Research Report
生死を分ける脳炎発火点の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
19H05417
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
有井 潤 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (30704928)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス性脳炎 / ヘルペスウイルス / シングルセルRNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘルペスウイルスは、ヒトに脳炎など多彩な病態を引き起こす医学上重要なウイルスであり、ヒトに終生続く潜伏感染を成立させることができる。人類のほぼ全てがヘルペスウイルスに感染している一方で、実際に脳炎発症に至ることは稀である。すなわち、ヘルペスウイルスがなぜ生体内で潜伏感染を成立させることができるのか、そして潜伏したウイルスが再活性化し、脳炎を引き起こすきっかけは何なのか、は不明である。本研究は、生体内において、ヘルペスウイルスを効率よく増殖させることで感染細胞の爆発的増加の起点となり、脳炎発症の引き金を引く細胞(群)を特定し、その性状を明らかにすることを目的とする。 すなわち、溶解感染、または潜伏感染をモニター可能なレポーターウイルスを駆使することで、マウス脳内でのイメージングを試みる。このウイルスを用いて、ウイルス感染細胞と単純に括られるものを、ウイルス産生細胞、ウイルス潜伏細胞、ウイルス抵抗細胞という三種に分類し、その時空間的変化を解析することを目標とする。さらにヘルペスウイルスを感染させた状態で、細胞を分離し、シングルRNA-seqに供することで、上記三種類の細胞および非感染細胞がそれぞれどのような宿主RNAを発現しているかを解析する。これらの結果を踏まえた上で、ウイルス産生細胞、ウイルス潜伏細胞、ウイルス抵抗細胞の三種を区分けする因子の探索を試みる。得られた因子の意義は、マウス脳炎モデルへ阻害剤を投与することで解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、ヘルペスウイルスの病態発現の分子機構を明らかにするため、組換えヘルペスウイルスを用いた解析を行った。さらにウイルス感染状態を簡便にモニター可能なツールとして、潜伏感染をモニター可能な組換えウイルスを現在作成中である。また、ウイルス感染状況を一細胞レベルで把握し、ウイルス再活性化のメカニズムを明らかにするため、ヒト試料に対してヘルペスウイルスを感染させ、シングルセルRNA-seqに供した。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したレポーターウイルスを用い、マウスや各種生体材料に感染させ、実際に潜伏感染を検出可能か否か、再活性能力があるか否かを明らかにする。また、前年度に行ったシングルセルRNA-seqの解析を進め、ウイルス感染状況と相関する宿主因子に注目し、その機能解析や阻害を試みる。
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Research Products
(9 results)