2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic Modeling of Crowds Led by Cells of Singularity
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
19H05424
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
冨樫 祐一 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (50456919)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物物理学 / 計算力学 / 細胞集団 / 群衆 / 力学特性 / 特異点 / 数理モデル化 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シンギュラリティ細胞が何によって生じ、集団にどのような影響をもたらすのか、その可能性を理論的な観点から検討し明らかにすることを目的としている。特に、細胞と環境、あるいは細胞同士での力学的な相互作用に注目した。 この観点から、本年度はまず、以前の研究で構築した、酵素などの分子機械が構造変化を介して干渉し合う系のモデルを、細胞集団のモデルに拡張した。分子と細胞で数理構造としては共通するものがあり、最も異なるのはゆらぎの性質の違いと想定していたが、これに加えて、細胞ごとの力学的特性の違いを導入してその影響を検討した。以前のモデルでも見られたように、細胞状態に対して相反する拘束(端的には同期しようとする効果と同期を阻害する効果)がある場合に、1細胞を起点とした進行波状のパターンなどが見られたが、この現象が設定によってはさらに多様であり得ることが示唆された(2020年5月発表予定)。本モデルは3次元系への自然な拡張が可能であり、検討を行ったが、計算量の問題から現時点では2次元系での考察を優先している(異方的な細胞変形と関連して、3次元で新たに現れる現象が想定されるため、次年度の課題とする)。 加えて、領域会議での公募A03班の昆 俊亮氏との議論から、上皮組織においてガン細胞が排除される現象の背後にある力学的メカニズムについて、数理モデルによる検討を始めた(領域内共同研究)。セルバーテックスモデルを基本とするモデル化を試みたが、実装段階で問題が生じ、やや滞っている。これについても次年度、引き続き研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公募A03班の昆氏の研究から、細胞間の力学的相互作用から生ずる(モデルが適用可能と思われる)現象の具体例を得て、当初の想定より早期に領域内共同研究を開始できた。ただ、その後のモデル構築と力学シミュレーションに関する作業でやや滞っている。全体としては想定した程度の進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書作成時点で、COVID-19の影響により出張に大きな制約があり、領域内での議論や共同研究に支障が生じているため、オンライン会議などを活用して影響の最小化を図る。前年度、進捗が滞っていた部分に関して、研究協力者(学生)の協力を得て、力学シミュレーションの改良を進める予定である。
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Research Products
(5 results)