2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of polymer caged luciferin enabling spatiotemporal trans-scale imaging
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
19H05429
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
蛭田 勇樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (60710944)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物発光 / フリマジン誘導体 / 高分子リンカー / 超分子 / トランススケールイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
時空間トランススケールイメージングの実現には、高輝度かつ長時間観察可能な発光プローブが必要不可欠である。本研究では生物発光基質フリマジンに注目し、高輝度・長期観察可能な生物発光イメージング技術の確立を目指した。フリマジンは酵素NanoLucを用いることで最高水準の発光輝度を示し、細胞小器官レベルでのイメージングを可能にした。しかし、フリマジンは酸化安定性に乏しく、動物個体においては基質投与直後から非特異的な発光シグナルが観察されることが問題となっている。以上の理由により、これまで長期にわたる生物発光イメージングは達成されていない。そこで本研究では、FMZの酸化寄与部位であるC3位に保護基を導入することで、非特異酸化の抑制、発光反応速度の遅延を通じて長時間イメージングの達成を目指した。保護基としては、アシル系保護基およびカルバメート系保護基を導入した。まず、エタノール中での安定性を評価したところ、全てのフリマジン誘導体はフリマジンに比べて安定性の向上が確認された。特に嵩高い置換基を導入することで保存安定性が高くなった。また、バッファー中では、徐々に脱保護されることでフリマジンを少しずつ放出することがわかった。カルバメート系保護基のBoc基を導入したフリマジン誘導体では、エタノール中では非常に安定であるが、水中では速やかに脱保護されフリマジンを放出できることがわかった。これらのフリマジン誘導体を細胞イメージングに応用したところ、フリマジンに比べて長時間のイメージングを達成した。さらに、シングルセルイメージングでは、フリマジンでは10分程度しか発光が続かなかったところ、保護基を導入した誘導体では高S/N比で1時間以上の生物発光イメージングを達成した。これらの成果については、国内および国際学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度より、フリマジン誘導体の合成、基礎評価、生物発光シングルセルイメージングが順調に進んだ。得られた結果は、論文にまとめており国際的な学術誌へ投稿できる段階まで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
化学結合を用いたアプローチにより長期生物発光イメージングを達成することができた。それに続いて、親水性高分子修飾シクロデキストリンにフリマジン誘導体を包接させるアプローチでの長期発光イメージングを計画する。NanoLucを発現させた細胞において、シングルセルイメージングを行い、生物発光継続性について評価する。これらのアプローチにより時空間トランススケールイメージングの実現を目指す。
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