2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis and control of singularity structures triggering epileptic seizure
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
19H05433
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
六車 恵子 関西医科大学, 医学部, 教授 (30209978)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | てんかん / 皮質構築異常 / iPS細胞 / 神経活動 / 細胞形態 / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかんは神経細胞の過剰興奮による発作を病態とする神経疾患であるが、発作の発生機構、予防法、根治療法は未解明である。本研究では、てんかん発作を安定な定常状態から何らかの刺激をトリガーとして異常興奮状態に遷移するシンギュラリティー現象としてとらえ、計測・解析・介入することで、病態の解明と予防・治療法の開発を目指す。てんかん歴のある患者由来iPS細胞と神経分化技術を組合せ、てんかん発作を培養系で再現し、現象を精密に計測し、計測データーを詳細に解析することで発作の発生機構を解明する。さらに培養系への介入・操作による現象の再現を試み、発作の予防・停止・軽減するための手法を探索することを目的とする。本年度は、in vitroでてんかん現象を再現し、現象の計測と解析方法の開発を実施した。ヒトiPS細胞から大脳オルガノイドを作成し、これを一般的な初代培養と同じ手順で分散し、二次元基質上で培養した。健常者由来と比較したとき、多点電極アレイ解析により、疾患特異的iPS細胞由来の神経回路ではてんかん様の異常発火を生じることを認めた。この異常発火現象を視覚的にとらえるために、カルシウム色素と膜電位色素によるカルシウム動態・膜電位の光学計測を実施し、定量化を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で用いる患者由来のiPS細胞はすでに樹立済みであり、また、iPS細胞からの神経分化法法も開発済みであったため、研究を順調に進めることができた。計画通り、異常神経発火現象を再現することができ、これを用いたイメージング技術による細胞形態・回路構造の計測、膜電位・カルシウム動態の光学的計測も進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現象の再現と計測方法の開発がすすめられたので、今後はこれらを用いた現象の解析と制御に取り組む。計測で得られる活動と形態の多次元加増データを定量的に解析する。開発済みのコンピュータビジョン分野のオプティカルフロー技術を用い、電位やカルシウム動態の時空間的伝搬特性を解析し、信号の流れを明らかにする。特に、動物モデルで報告のある進行波や螺旋波に焦点をあて、時空間特性解析を行う。解析情報を基にして、てんかん発作現象に介入・操作を加えるための方法を開発する。
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