2019 Fiscal Year Annual Research Report
シンギュラリティシナプスの探索と機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
19H05434
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
村越 秀治 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (90608142)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シナプス / シグナル伝達 / 時空間制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
海馬や大脳皮質の興奮性神経細胞上には数千個以上のシナプスが存在しており、多数のシナプスからの入力を同時に受けることで活動電位を発生する。本研究の目的は、入力信号を大きな出力に変換し、細胞状態を大きく変えるようなキーとなるスパイン(シンギュラリティスパイン)を同定しその分子メカニズムを明らかにすることである。具体的には、シナプスの形態変化や長期増強にとって重要な働きをしていると考えられる分子に着目し、その活性を青色光照射で制御できるように遺伝子改変する。これを神経細胞に応用し、単一スパインを定量的に活性化させた時のスパイン内シグナリングと形態変化を2光子蛍光寿命イメージング顕微鏡でモニターする。このようにして、数千シナプスの中から細胞全体の状態を大きく変えてしまうようなシンギュラリティスパインを同定し、その分子基盤や電気生理的性質を明らかにする。現在までに、ケイジドグルタミン酸、或いは光応答性分子を用いて、海馬神経細胞上のシナプスを様々なパターンで刺激し、その時の応答を計測してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在開発中の光応答性キナーゼのプロトタイプの機能特性を調べるため、生化学アッセイによりリン酸化レベルを培養神経細胞を用いて調べた。また、様々なダイナミックレンジをもつ変異体を作製し、シナプスの形態変化と長期増強を光照射により惹起できるかどうかを確認した。一方、単一シナプスからの入力を電気的に計測(興奮性シナプス後電流EPSC計測)するため、電気生理計測装置のセットアップを進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに光応答性分子に遺伝子改変を行い、様々なダイナミックレンジをもつ変異体を作製した。今年度は、光照射によって、これらの変異体がシナプスの形態変化を惹起できるかどうかを確認する。また、単一シナプスからの入力を電気的に計測(興奮性シナプス後電流EPSC計測)することで長期増強が惹起できるかどうか調べるため、電気生理計測を進める。さらに、神経細胞は多数のスパイン(シナプス)への同時入力により活動する。そこで、光応答性分子を多重シナプスで活性化させたときの細胞応答を調べるため、空間光変調器を用いた多光子多重光刺激システムの開発を進める。
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