2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of environmental singularity using a realtime evaluating system of MET events.
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
19H05435
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高里 実 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40788676)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎臓オルガノイド / ヒトiPS細胞 / 分化誘導 / 腎臓前駆細胞 / MET / シンギュラリティー / 腎胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではその研究目的を達成するために、腎臓オルガノイドにおけるMETイベントのリアルタイムモニタリングの系を構築した上で、機械学習によってライブイメージングで得た画像情報からMETを起こす特異的細胞を含むスフェロイドをprospectiveに同定する手法を確立することとした。その後、同定した特異的細胞を含むスフェロイドを採取し、特異的細胞を含まないスフェロイドと分子生物学的に比較することで、その特異性を解析する。 まずは、腎臓のMETイベントを可視化するために、イベントの最初期に発現する遺伝子WNT4とLHX1を指標とした、WNT4-tdTomatoレポーターiPS細胞株、及びLHX1-AzamiGreenレポーターiPS細胞株を作製する。当年度では、CRISPER/Cas9システムを用いて樹立するために必要なベクターの設計及び作製を完了した。 次に、より小さいサイズの腎臓前駆細胞塊を用いて腎臓オルガノイドを作製し、腎胞を形成するスフェロイドと形成しないスフェロイドが混在する培養条件を見出した。具体的には、細胞塊中の細胞数を様々に変えて、腎胞の発生数を調べた。その結果、100細胞から細胞塊を作製した場合、腎胞が発生した結果生じるネフロンを持つスフェロイドと持たないスフェロイドがおよそ1:1の割合で混在することがわかった。この手法により、細胞塊を最小化し、METが起きるスフェロイドと起きないスフェロイドを混在させ、それらのスフェロイドをライブイメージングに適した条件下で培養することが可能になった。また、これらスフェロイドの具体的な回収方法を検討した。結果、約1000個のスフェロイドを回収し、900 ngのRNAが得られた。これは、トランスクリプトーム解析に十分なRNA収量であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、METイベントを可視化するためのレポーター細胞株の作製を進行している。ベクター構築が完了し、現在細胞株を樹立中である。また、次年度のRNA-seq解析に必要なオルガノイドの培養条件を整えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
作製済のベクターを基に、CRISPER/Cas9システムを用いてWNT4-tdTomatoレポーターiPS細胞株、及びLHX1-AzamiGreenレポーターiPS細胞株を樹立する(進行中)。Wild typeのヒトiPS細胞での検討は済んでいるため、同じ条件をレポーターiPS細胞株にも適応できるかを確認し、腎胞の発生を伴う最小の細胞数を見出す。 次に、レポーターiPS細胞株を用いてライブイメージングを行う。そのデータをもとに機械学習を行い、METを起こす特異的細胞を含むスフェロイドをprospectiveに同定する。prospectiveに同定した特異的細胞を含むと思われるスフェロイド、及び特異的細胞を含まないと思われるスフェロイドを採取して、RNA-seqによりトランスクリプトームを比較する。 更に、トランスクリプトームデータを解析し(例えば特異的細胞において、より高発現しているリガンド受容体ペアを見出す)、METイベントの特異性を担う因子を同定する。得られた知見を用い、実際にネフロンの形成数を人工的に制御できるかどうかを確認する。
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