2020 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative Study on Dynamics of Multi-channel Coordination in Performing Arts
Publicly Offered Research
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
20H04573
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 大地 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (00724486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体表現芸術 / 演者間協調 / マルチチャンネル / ストリートダンス / バトル場面 |
Outline of Annual Research Achievements |
身体表現芸術における演者間の関わり合いは、パフォーマンスの魅力を形成する重要要素である。一方、この演者間の関わり合いの仔細に関する定量的検討は十分には行われておらず、またピアニストの腕の運動等の単一の表現媒体に着目した検討が主である。一方で身体表現では、表情・リズム運動等の複数媒体を通して他演者との関わり合いが営まれると予想される。本研究では、以上の複数媒体における演者間協調の様相をストリートダンスを取り上げ、定量的に検討する。特に令和2年度では、社会状況(COVID-19の感染拡大)により現場での実験が実施出来ず、過去のデータを利用した検討を行った。具体的には、別の実験の1つとして過去に実施・測定したバトル場面に関するデータを利用し、1:複数の表現媒体における演者間協調の有無・程度、を検証した。特に、演者間協調の定量的抽出が可能と予想され、かつダンスにおける重要性が示されているリズム運動と空間内の移動とを取り上げ、協調の様相を位相解析により検証した。以上2つの表現媒体については、既に解析の実施と結果の整理を済ませており、リズム運動に関しては実際に論文を執筆・発行済みである(Shimizu & Okada, 2021)。また、空間内の移動に関しても、現在論文の執筆と投稿の手続きを進めている。さらには、上記の論文の執筆・発行過程において、短期的・長期的といった複数の階層における協調の様相や演者間協調の観客に対する効果に着目する必要性が伺われた。当初の予定には無かったものであるが、現在Complexity Matching等の解析手法や眼球運動測定装置等の専門機器を用いて以上の発展的な解析にも取り組んでおり、学会での発表や論文投稿を予定している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要に記載した通り、当初予定していた実験については、COVID-19の感染拡大により実施することが困難となった。一方で、類似した実験データを応用することで当初予定していた内容については、概ね実施することが出来た。実際に以上の内容については、学会での発表と論文としての発行を行うことが出来ている。また、以上の実験からは当初予定していたよりも発展的な演者間協調の様相(階層的な協調関係)を抽出できる可能性が伺われており、現在、以上の発展的な解析や結果の論文執筆を進めている状況である。一方で、当初予定していた、より問いに適した枠組みを反映させた実験については、今年度実施することが出来なかった。以上について、徹底した感染予防を行った上での実験を可能な範囲で実施し、当初検証予定であった内容と同様の内容を検証することを予定している。以上により当初の研究予定の実施と発展的な検討の実施を行うことを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記した通り、まずは当初予定していた各表現媒体における協調関係に着目した論文の執筆・投稿を行う予定である。さらには、当初の予定であった、2:各媒体における演者間協調の様相の共通性・差異、3:各媒体の協調間における高次な対応関係の有無・程度、の2点を検証する。以上については、可能であれば徹底した感染予防を行った上で、熟達者複数名を対象とし、実験操作・設定も入念に行った実験を実施し、検証する。そして取得したデータについて、相対位相間の対応関係の抽出、複数のCRPのJRPによる重ね合わせ、媒体間のComplexity Matchingの算出等により、複数の表現媒体間の対応関係を検証する予定である。なお、COVID-19による感染拡大が収束せず実験の実施が困難であった場合は、過去に測定したデータを活用し、上記と類似した解析を実施することで、2、3の点について探索的で限定的ではあるものの、検証を行う予定である。
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