2020 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨形成術後の顔面頭頚部の知覚・運動と自己身体認知との間の因果関係
Publicly Offered Research
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
20H04579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
社 浩太郎 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (10303976)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 顔認知 / 運動主体感 / 運動円滑性 / 動的触覚 / 静的触覚 / 顎骨形成術 / 可視的変形 / 大脳皮質活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:顎骨切除術で回復した自己顔に対する認知の感度が、約2年という長いプロセスで強くなることが前半の研究で明らかとなった。この理由は不明である。後半の研究では、外科的侵襲後に顔面頭頸部を自己身体として再認知する機構は、知覚・運動の回復に応じて更新され、後に運動機能の改善に寄与するのではないだろうか?という仮説を検証した。 研究実施計画とこれまでに得られた結果:大阪警察病院に通院する18歳から40歳までの女性患者30名を募集した。可視的変形の症状は、上下顎の前突・後退及び非対称とした。実験は術前から術後約2年経過時まで約6ヶ月毎に行った。触覚の評価では第一に、静的触覚検査を行うために、セメスワインスタインモノフィラメント を使ったテストを行った。動的触覚について、粗振動感覚の受容器であるマイスナー小体の闘値を検査するために、チューニングフォーク(音叉)を用いたテストを行った。また、顔面多評点運動計測システムにて、一律に指定した表情表出時の下顔面の評点運動の円滑性(正規化ジャークコスト)を評価し構音時の随意運動について、鼻尖からの距離として、キネクトを用いて記録したデータを座標変換して定義、計測した下顔面の463評点の運動の円滑性を評価した。観察した自己随意運動が被験者自身のその時の運動か否かの二者択一判定を行わせて刺激提示の遅延時間と判定頻度から運動主体感の心理物理測定を行った。これらの結果、動的触覚と静的触覚は術後経過日時とともに回復すること、また運動主体感も術後の経過日数とともに回復することが分かり、約二年弱にわたって知覚が回復することが分かった。以上より前半で明らかとなった術後顔への認知感度の回復は、術後の知覚の回復と関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた30名の内、病院、口腔外科のコロナ感染対策の影響で、手術計画に遅れが生じ、募集した被験者の内の約20名に計測が限定された。また同じ理由で、診療回数が減り、実験が円滑に進まないことも理由として考えられる。また、同じ理由でFMRIの検査が円滑に実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染防止対策の影響で、円滑に進めなかった実験に対する対策として、FMRI計測については当初の計画の被験者数の4割くらいに減少せざるを得ない可能性がある。
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