2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of amygdala neural activities on face cognition, emotional response, and neural activities in ventral visual cortex
Publicly Offered Research
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
20H04596
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
宮川 尚久 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 主任研究員(任常) (60415312)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 霊長類 / 顔認知 / 情動 / 腹側視覚皮質 / 扁桃体 / 化学遺伝学 / 電気生理 / 情動反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳の代表的な情動処理中枢である扁桃体が、霊長類で共通の顔情報処理領域とされる、視覚野顔選択性領域(“顔パッチ”)における表情視覚情報処理に果たす役割を評価するため、霊長類では世界でも例の少ない化学遺伝学による神経操作研究を行っている。我々は化学遺伝学に用いる新規人工薬剤デスクロロクロザピン(DCZ)の開発・評価を行い、これまでの薬剤と比較して非常に優れた脳内移行性を持つこと、また内在性受容体への非特異的結合が低い優れた薬剤であることを報告した(Nagai&Miyakawa et al., Nature Neuroscience 2020)。次に、この新規アゴニストDCZおよび興奮性化学遺伝学受容体hM3Dqを用いてマカクザル扁桃体の神経活動を賦活化させ、腹側視覚皮質“顔パッチ”を広範囲で覆う表面脳波電極(ECoG)より、サルが顔の画像を注視した際に反応する視覚応答を計測した。化学遺伝学アゴニストDCZ投与により扁桃体神経活動の持続的賦活化を引き起こすことで、腹側視覚野の視覚応答性神経活動パターンにおいて、1)顔選択性領域内の顔画像に対する視覚応答が減弱すること、2)中立表情と脅威表情の画像に対する視覚応答の差が消失すること、3)色や形の視覚情報については扁桃体操作による影響が生じないことを見出した。また扁桃体操作が実験個体の主観的な情動に及ぼす影響を評価するため、代表的な自律神経応答である瞳孔径反応を調べた。操作をしない場合は、中立表情より脅威表情に対してより大きな散瞳を示したが、扁桃体を賦活化するとこの差は消失した。 これらの結果により、扁桃体の活動を持続的な賦活化により乱すことで個体の表情認知が乱されること、その効果は扁桃体から腹側視覚皮質への情報伝達を乱したことによる可能性があること、が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サルの腹側視覚皮質を広範囲で覆う表面脳波電極(ECoG)を留置し、同種のサルの強い情動を惹起する表情(恐怖顔、威嚇顔)を含む刺激画像セットを視覚提示し、注視課題遂行中のサルより、視覚応答性神経活動パターンを計測した。上記の変異ムスカリン受容体型DREADDおよび新規DREADD薬剤DCZ投与により扁桃体神経活動の持続的賦活化を引き起こすと、腹側視覚野の顔選択性領域において顔画像に対する視覚応答が減弱し、中立表情顔と脅威表情のへの視覚応答の差が消失することを見出していた。2020年度は、2頭目の動物でも同じ傾向があることを確認し、また一頭の動物では、色や形といった情動とは無関係の視覚刺激セットを提示し、扁桃体操作による影響が腹側視覚皮質に生じないことを見出した。また、扁桃体操作が実験個体の主観的な情動に及ぼす影響を評価するため、瞳孔径反応を調べた。コントロール条件では、中立表情より脅威表情に対してより大きな散瞳を示したが、扁桃体を賦活化するとこの差は消失し、扁桃体の持続的な賦活化実験においては、個体レベルの認知と物体認知に関わる腹側視覚皮質の神経活動に、同様の影響を及ぼしていることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
扁桃体持続賦活による顔や表情の視覚情報に特異的な影響が、腹側視覚皮質のどの領域に生じるのか、ECoGのデータを用いたシングルチャネルデコーディングと、扁桃体から腹側視覚皮質への神経線維投射の解剖学的解析により精査する。これにより、扁桃体操作による影響が腹側皮質の各領域への直接的な投射経路で起きているのか、シナプスを乗り換えた間接的な結合を含んだ経路で起きているのか検証する。また、腹側視覚皮質応答の早い成分と遅い成分それぞれで、扁桃体持続賦活の効果を確認する。早い短潜時の効果が確認できた場合、腹側視覚皮質をバイパスする皮質下の早い経路に由来した効果である可能性が示唆され、より遅い反応成分でのみ効果が確認出来れば、一旦腹側経路を通って扁桃体に到達した視覚情報が、フィードバック回路を介して腹側視覚皮質に戻っている可能性が示唆される。扁桃体操作が実験個体の主観的な情動に及ぼす影響を評価するための、他者表情への情動性瞳孔反応計測実験を別の個体で行い、再現性を検証する。
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[Journal Article] Chemogenetic dissection of the primate prefronto-subcortical pathways for working memory and decision-making2021
Author(s)
Kei Oyama, Yukiko Hori, Yuji Nagai, Naohisa Miyakawa, Koki Mimura, Toshiyuki Hirabayashi, Ken-ichi Inoue, Tetsuya Suhara, Masahiko Takada, Makoto Higuchi, Takafumi Minamimoto
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Journal Title
Science Advances (in press)
Volume: ー
Pages: ー
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 扁桃体が腹側視覚皮質における社会・情動性の視覚情報表現に果たす役割 ~化学遺伝学神経操作によるアプローチ2020
Author(s)
Naohisa Miyakawa, Yuji Nagai, Yukiko Hori, Takeshi Matsuo, Takafumi Suzuki, Ken-ichi Inoue, Toshiyuki Hirabayashi, Kei Oyama, Masahiko Takada, Tetsuya Suhara, Makoto Higuchi, Keisuke Kawasaki, Takafumi Minamimoto
Organizer
第43回日本神経科学大会
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[Presentation] Effects of different physical surface properties on face discrimination learning in macaque monkeys2020
Author(s)
Kazuko Hayashi, Narihisa Matsumoto, Keiji Matsuda, Kenichiro Miura, Shigeru Yamane, Shin Matsuo, Keiji Yanai, Mark A. G. Eldridge, Richard C. Saunders, Barry J. Richmond, Yuji Nagai, Naohisa Miyakawa, Takafumi Minamimoto, Masato Okada, Kenji Kawano, Yasuko Sugase-Miyamoto
Organizer
日本動物心理学会 第80回大会
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