2020 Fiscal Year Annual Research Report
海外戦没者処理をめぐる日・英・豪関係の研究―「相互性」の問題を中心に―
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of the study of reconciliation |
Project/Area Number |
20H04601
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
浜井 和史 帝京大学, 共通教育センター, 准教授 (20614530)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺骨収集 / 戦没者慰霊 / 和解 / 戦争の記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、予定していた海外出張による現地調査が実施できなかった。しかし、日本国内において、国立公文書館、防衛省防衛研究所、外務省外交史料館、国立国会図書館などの所蔵史料を積極的に収集したほか、英国やオーストラリアの国立公文書館所蔵史料をマイクロフィルムやオンライン請求にて収集した。そして、それらの公文書史料を活用して、おもに国際規範(ジュネーヴ条約の規定)に基づく「相互性」の観点から、戦後の日本における海外戦没者処理の展開過程について分析した。 その結果、戦没者の取扱いに関する国際規範が日本を含む諸外国の姿勢をある程度規定する要因となっていたこと、また、戦没者処理をめぐる日本と連合国との交渉過程においては、戦勝国や戦敗国などの区別なく、戦没者を尊重して取り扱うべきという意識が共有されていたことなどが明らかとなった。 これらの成果をまとめた論文は、特に1950年代において、英連邦による横浜市保土ヶ谷区の英連邦戦死者墓地の維持に関する協定交渉と日本の政府遺骨収集団の派遣をめぐる交渉が連動して行われた事例を取り扱った「「相互性」の模索――墓地協定と遺骨収集団派遣をめぐる対英豪交渉」として、2021年1月刊行の研究代表者による単著『戦没者遺骨収集と戦後日本』に収録された。また、戦没者処理に関する国際規範の検討過程などに関する調査も並行して進めており、研究会などの機会に、関連するテーマの研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、予定していた海外出張・現地調査が実現できなかったが、日本国内おいて入手可能な史料を可能な限り収集することでカバーし、所期の目的を一定程度達することができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に引き続き、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、国内において入手可能な史料の収集に努める。海外にて調査が可能な状況になった場合は、積極的に現地調査を行う。
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