2020 Fiscal Year Annual Research Report
水惑星表面の氷・含水鉱物・塩の計測を目指した小型レーザー発光分光装置の宇宙機開発
Publicly Offered Research
Project Area | Aqua planetology |
Project/Area Number |
20H04607
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長 勇一郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00737687)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レーザー誘起プラズマ発光分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
月面や小惑星、氷衛星の表面において水や含水鉱物、および塩を検出し定量するレーザー誘起プラズマ分光分析技術を開発することを目指して研究を行った。具体的には、以下の三点に注力して開発を行った。 (1) 宇宙実績を持つCMOSセンサを用いた宇宙用小型可視分光器の設計検討 宇宙品の製作に高い実績を持つ光学メーカーのご支援を受け、400-800 nmの可視光領域を 1 nm FWHMよりも高い波長分解能で分析するグリズム分光器の設計検討を行った。分光器のセンサーとして宇宙実績のあるCMOSセンサを用いることを念頭に、センサ単体での評価実験を行った。その結果、計測目的にかなうダイナミックレンジと線形性、ノイズレベルを持つことが明らかになった。 (2) 焦点調整機構付き望遠鏡部の試作: レーザーの焦点を距離1~2 mに合わせてプラズマを発生させ、プラズマ発光を集めて分光器に導く、焦点調節機能付きの光学系の試作を行った。レーザーの焦点調整のために はレンズの一部を前後に動かす駆動部が必要となるが、これは宇宙用小型ステッピングモータの回転をリードネジとナットによって直進運動に変換する機構によって実現した。この装置を駆動してスペクトルを得るソフトウェアを製作した。 (3)宇宙用装置の設計検討: 上記の分光計、カメラ、宇宙実績を持つレーザー等を組み合わせた時に実現するレーザー誘起プラズマ分光装置の形状や寸法、重量、仕様について検討し、宇宙用装置設計のベースラインを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙用レーザー分光装置の光学設計や、装置の配置検討を概ね予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に開発した焦点調整機構により、レーザー照射点を1 m程度移動できることを確認する。また、得られた試料画像のコントラストが最大になる位置を合焦点とするLaplacian score法を用いて、撮像によるピント合わせの成立性を確認する。 製作した実験系を用いて試料中の水を計測する実験を行う。新たな光学系を構築することで装置の特性が変化すると考えられるので、H2Oの検量データを取り直して検出限界を決定する。 将来の惑星探査計画への応募を念頭に置いて、レーザーを含む装置全体の配置や機構の設計、電力や重量の算定を詳細化する。
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[Presentation] MMX ローバ搭載用ラマン分光計 RAX の エンジニアリングモデル開発状況2020
Author(s)
長勇一郎 , 湯本航生, 小倉暁乃丞 , 亀田真吾, 臼井寛裕, Ute Boettger, Conor Ryan, Maximilian Buder, Till Hagelschuer, Selene Routley, Enrico Dietz, Emanuel Kopp, Heinz-W. Huebers, Andoni Moral, Fernando Rull
Organizer
日本惑星科学会 秋季講演会