2020 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical and isotopic analyses of asteroid samples returned by Hayabusa2 mission
Publicly Offered Research
Project Area | Aqua planetology |
Project/Area Number |
20H04609
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 哲也 東京工業大学, 理学院, 教授 (00467028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リュウグウ / はやぶさ2 / 同位体比 / 微量元素存在度 / 隕石 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は微小量のリュウグウ試料から微量元素濃度・放射起源同位体・安定同位体の測定を行うための技術を立ち上げた。2020年度当初は、実際に使用可能であるリュウグウ試料の総量が不明であったため、まずは30 mgの試料を使用可能であると仮定し、試料の酸分解、イオン交換法による化学分離、ならびに表面電離型質量分析計を用いたCr同位体比の分析法を立ち上げた。試料はHF・HNO3で分解したのち、最終的にHBrに溶解した。この溶液の一部(約1%)を分取し、2つに分けた。片方は硝酸でアタックすることにより、難溶性フッ化物を除去し、0.5M硝酸に溶かしてREEなどの存在度を測定した。もう片方はHFに溶解し、HFS元素の存在度をICP-MSで測定した。このようにして2グループに分けて元素存在度を測定することにより、難溶性フッ化物による微量元素の共同沈殿を避けながら存在度を正確に分析できることが分かった。 次に、イオン交換クロマトグラフィーによる元素分離では、17元素を単一バッチから一切の無駄なく相互分離する方法を立ち上げた。まずPbを分離し、その後、陰イオン交換樹脂でHFS元素(Ti, Zr, Hf, W, Mo)を主成分元素から分離した。主成分元素のフラクションからFeとUを分離したのち、Sr, Ba, REEの分離を行った。次にCaとCrの分離を陽イオン交換樹脂により行い、最終的にMgとNiを分離した。 表面電離型質量分析計を用いた同位体分析では、2μgのCrを用いたダイナミック法により、53Cr/52Cr、54Cr/52Cr比をそれぞれ10 ppm、20 ppmの誤差(2SD)で測定することに成功した。最終的にリュウグウアナログ試料として4つの炭素質コンドライトのTi, Cr同位体比を測定し、先行研究と調和的な結果を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に立ち上げ途中であった17元素の化学分離法について、全元素を分離する方法を最終的に確立することができた。また、これまで研究室で測定したことがなかったCrの同位体比も、先行研究と比べてそん色のない誤差で測定することに成功した。2020年12月には、はやぶさ2が試料を地球に持ち帰ることに成功し、その総重量が5.4グラムであることが判明した。これは予想を上回る重量であり、2021年度に実施する初期分析では、予想していた使用可能試料量のほぼ最大量を使えることとなった。このように、すべての計画がほぼ順調に進んでいるが、隕石試料を用いたリハーサル分析は、4試料・1回のみにとどまった。これはCOVID-19の影響であり、2021年5月現在でも、その影響は継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
はやぶさ2が地球に持ち帰ったリュウグウ試料の総重量は5.4グラムに達することが分かった。初期分析「Chemistry班」に分配される試料は2種類、合計100 mg程度となる予定である。この結果を受け、まずは分析スキームの最終調整を行う。試料が到着する6月末までの3か月間は、リハーサルを繰り返す。 試料到着後は、構築したフローに従って測定を行う。試料を酸で溶解し、一部(1%以下)を分取して主要元素・微量元素の存在度を新規導入するICP-MS(サーモフィッシャーサイエンティフィック社・iCAP-TQ)で測定する。次に、残りの溶液から17元素を段階的に化学分離し、放射起源同位体および安定同位体の測定を質量分析計(TIMS・MC-ICP-MS)により実施する。最終的に得られた結果を、他の初期分析チームの結果と照らし合わせ、リュウグウの起源について総合的に議論する。
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] Sulfur species in carbonates of a 4.1-billion-year old Martian meteorite constraining conditions of water on ancient Mars2020
Author(s)
Kajitani, I., Nakada, R., Koike, M., Tanabe, G., Usui, T., Matsu'ura, F., Fukushi, K., Yokoyama, T.
Organizer
JpGU-AGU Joint meeting 2020, On-line
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[Presentation] Origin and evolution of distinct isotopic variabilities for Sr, Mo, and Nd within inner and outer solar system2020
Author(s)
Yokoyama, T., Fukai, R., Nagai, Y., Hirata, T.
Organizer
JpGU-AGU Joint meeting 2020, On-line
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[Presentation] Origin and evolution of distinct isotopic variabilities for Sr, Mo, and Nd within CC and NC reservoirs (Keynote Talk)2020
Author(s)
Yokoyama, T., Fukai, R., Nagai, Y., Hirata, T.
Organizer
Goldschmidt Conference, On-line
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Assessment of the effect of mass-dependent fractionation on 142Nd compositions in Archean rocks2020
Author(s)
Fukai, R., Asanuma, H., Komiya, T., Yokoyama, T., Hirata, T.
Organizer
Goldschmidt Conference, On-line
Int'l Joint Research
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[Presentation] No impact signatures in Earth’s oldest rocks from Acasta Gneiss Complex, Canada2020
Author(s)
Ishikawa, A., Koshida, K., Suzuki, K., Yokoyama, T., Komiya, T.
Organizer
Goldschmidt Conference, On-line
Int'l Joint Research
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