2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of oxidation reactions in/on ice induced by low energy electron and ultraviolet light
Publicly Offered Research
Project Area | Aqua planetology |
Project/Area Number |
20H04616
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
薮下 彰啓 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (70371151)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低エネルギー電子 / OHラジカル / アモルファス氷 / 酸化反応 / 表面反応 / 宇宙化学 / 水惑星 / 真空紫外光 |
Outline of Annual Research Achievements |
氷薄膜に低エネルギー電子を照射する装置の開発を行った。電子銃は年度内に購入予定であったものの納品に時間がかかる予定であった。早く予備実験を行いたかったため現有の電子銃を用いた。しかし高エネルギー用であるため、まずは低エネルギー用のコントローラーの製作を行った。また電子が照射されている位置と量を確認するための検出器を製作した。これらを用いて測定した結果、30 eV程度に加速した電子を0.3μA程度氷薄膜に照射できるようになった。そこで実際に氷への電子照射を行い、次の3つの実験により化学反応が起こるか調べた。 8 Kで作製したアモルファス氷 10 MLにエネルギーが30 eVの電子を照射し、0, 60, 120, 165分後に反射型赤外吸収分光装置で測定を行ったが、スペクトルの形はほぼ変化しなかったことから新しい生成物は生成しなかったと考えられる。電子のエネルギーを30 eVから56 eVまで上げて同様の実験を行ったが、スペクトルの形は変化しなかった。 アモルファス氷に6.3 eV以上の電子を照射すると化学反応が起こり、H2が生成することが報告されている。そこで、アモルファス氷に30 eVの電子を照射して、生成したH2を四重極質量分析計で測定する実験を試みたが、8~200 Kの範囲でH2は検出されなかった。 研究代表者らのこれまでの研究により、アモルファス氷に真空紫外光を照射すると氷表面上にOHラジカルが生成することがわかっている。そこで、8 Kで作製したアモルファス氷に30 eVの電子を30 分照射したがOHラジカルの生成は確認できなかった。 以上の3つの実験を行ったが、低エネルギー電子照射による氷の化学反応は観測できなかった。現在のところ電子の量が少な過ぎることが原因であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験はうまくいかなかったが、今年度の目的である装置開発は完了したため
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Strategy for Future Research Activity |
今年度購入した電子銃システムを用いて実験を行う。その後、低エネルギー電子を氷薄膜に照射することによって氷表面上に生成するOHラジカルとO原子の測定を行う。また含塩低温氷への真空紫外光もしくは疑似太陽光照射による過塩素酸の生成実験を行う。
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