2021 Fiscal Year Annual Research Report
氷衛星類似環境に生きる微生物の生命代謝とその制約
Publicly Offered Research
Project Area | Aqua planetology |
Project/Area Number |
20H04620
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
鈴木 志野 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10557002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 蛇紋岩化反応 / メタゲノム / 極限環境微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
氷に覆われた土星の衛星エンケラドスには海水と分子状の水素が存在することが突き止められ、エンケラドスにおける水素は炭素質コンドライトの蛇紋岩化反応の結果であると推定された。これまで、蛇紋岩化反応が支える生命に関しては、エネルギー論に基づく理論研究などから「メタン生成菌がいる可能性がある」といった仮説が提唱されてきたが、実際の強アルカリ性・超還元性のThe Cedarsの蛇紋岩湧水のゲノム解析では、メタン生成菌はほとんど検出されず、我々の知見にない代謝経路・生存戦略を持つ生命が多く存在することが明らかとなった。これらの結果は、地球に現存する蛇紋岩化反応に支えられる生命ですらその理解が未熟であることを示すととともに、そこには、たとえ水素と二酸化炭素が存在したとしても、メタン生成以外の代謝の方が優位になる駆動力、または、メタン生成でエネルギーを得ることが不利となる制約があると考えられた。 ここでは、6つの化学特性の異なる蛇紋岩化反応サイトで見られる代謝を、画一的手法でゲノム解析し、各物理・化学因子(例えば、pH、Eh、ガス組成など)との相関解析を行うことで、各々の因子が選択する生命代謝を明らかにした。その結果、1)酢酸生成菌が多く存在すること、2)その基質として、二酸化炭素のみならず、ギ酸や一酸化炭素を使う微生物が多くいる可能性が示唆された。これは、強アルカリ環境において、微生物の使える二酸化炭素(CO2、もしくは、HCO3-)が少なく、その多くがCO32-となり、さらには、CaCO3といった、鉱物へと化学種を変化させていること、さらには、CO2と水素が反応することで、CO、ギ酸、メタンといった物質に非生物的に変換されることに起因すると考えられた。一方で、二酸化炭素を基質とするものに関しては、高親和性の炭酸トランスポーターを持ち、それがこの環境に広く分布していることも明らかとなった。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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