2020 Fiscal Year Annual Research Report
The isotope study of carbonates in chondrites for understanding volatile sources in asteroids
Publicly Offered Research
Project Area | Aqua planetology |
Project/Area Number |
20H04621
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
牛久保 孝行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (10722837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 隕石 / コンドルール / 酸素同位体 / オリビン / 炭酸塩 / 二次イオン質量分析計 / SIMS |
Outline of Annual Research Achievements |
Tagish Lake隕石のオリビン結晶粒子の鉄とマグネシウムの存在比と酸素同位体比を分析し相関を調べた結果、Tagish Lake隕石母天体の微惑星が形成する前の原始惑星系円盤において、H2O(氷あるいは水蒸気)の存在量が上昇して酸化的な環境が生じていた事と、酸化的な環境の酸素同位体比が特徴的な二つの値(D17O = d17O - 0.52×d18O = -2.5‰ あるいは 0%)を持っていた事が明らかになった。酸素同位体比はダスト粒子とH2Oの存在量比かH2Oの酸素同位体比に大きく依存する事から、二種類の特徴的な酸素同位体比の出現は、原始太陽系円盤の中でH2Oが濃集して酸化的な環境を形成する過程において、(1)一定のダスト粒子とH2O比を保つ凝縮機構が存在した、あるいは(2)異なる酸素同位体比組成を持つ二種類のH2Oが原始惑星系円盤に存在していたことを示唆している。 さらに、これまでに報告された始原的隕石試料のオリビン結晶粒子の酸素同位体比情報と比較する事で、高い酸素同位体比(D17O = 0%)を持つ酸化的環境が小惑星帯の外縁からさらに遠方の領域で生じていた事をあきらかにした。これは太陽からの距離が違う領域に同位体比組成の異なるH2Oが存在していた可能性を示唆しており、酸素同位体比情報から、それぞれの惑星に集積したH2Oの起源(供給源や集積過程)も制約を与えられる事が期待できる。この成果は査読付き国際誌に論文発表(Ushikubo and Kimura, 2021)したほか、惑星科学・天文学の研究集会で口頭発表し、研究成果を関連分野に周知して議論を交わした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的なコロナウイルスの蔓延によって研究施設への立ち入りや作業が著しく制限されたため、同位体比分析に向けた試料の選抜、観察、加工の各工程に遅れが生じてしまった。リモートでの議論や、人が移動する必要のない共同研究作業手順を確立し、同位体比分析に向けた作業を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
米国・ニューヨークの研究所閉鎖措置に対応するため、研究対象である隕石薄片試料を日本に送付してもらい、研究遂行のための観察を日本で行う。新規に取得する国立極地研究所隕石試料の加工と観察を並行して効率的に行う事で、同位体比分析に必要な研究試料を確保する。
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Research Products
(5 results)