2020 Fiscal Year Annual Research Report
Novel spin-mechanic effect in topological nanowires
Publicly Offered Research
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
20H04631
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩見 雄毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10633969)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピンメカニクス / トポロジー / ナノワイヤ / スピントロニクス / 表面状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究の舞台となる高品質なトポロジカルディラック半金属Cd3As2ナノワイヤの作製と評価を行った。既存設備である2ゾーンの横型炉を用いて、CVD法により試料作製を行った。CVD法における合成条件の改善により、直径500-1000nm程度のナノワイヤ試料を合成した。試料の評価として、X線回折や共同研究者によるTEM解析を行い、Cd3As2が合成できていることを確認した。その後、別の基板に転写し、本研究費で導入したマスクレス露光装置や共同研究先のEBリソグラフィー装置やFIB装置を利用してナノワイヤ試料に電極付けした。電極付けしたナノワイヤ試料に対して既存設備である超伝導マグネットを用いて、2Kまでの低温で9Tまで印加し磁気抵抗を測定した。 結果として、ナノワイヤの長手方向に磁場をかけた場合には低温でバルク状態の量子振動のみが観測されたのに対し、磁場を垂直にかけた場合にはバルクの量子振動に加えて表面状態の量子振動も観測された。この表面状態由来の量子振動は、ナノワイヤ形状では初の観測である。FIB加工されたマイクロ試料や薄膜では同様の表面状態由来の量子振動が近年報告されており、振動周波数の解析や比較により過去文献の結果と整合することを確認した。 以上により、本研究でスピンメカニクス機能を開拓するトポロジカルナノワイヤ試料が得られた。想定よりも高品質な試料が得られたことは予期せぬ収穫であった。他の研究代表者と協力して、他の物質系への研究展開も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行には高品質なトポロジカルナノワイヤ試料が必要となるが、今年度の研究により予想以上の性能を示すトポロジカルナノワイヤ試料が得られた。ナノワイヤ形状では初めての輸送現象も観測されてきており、本課題で着目したスピンメカニクス機能以外にも研究展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度合成に成功した高品質なトポロジカルナノワイヤ試料を用いて、来年度はスピンメカニクス機能を開拓する。 加えて、今年度確立したCVD法によるナノワイヤ合成技術を利用して、他のナノワイヤ物質試料の合成に挑む。特に、本新学術領域の領域研究会での議論の結果、他の研究代表者が研究している物質系のナノワイヤ試料の合成も興味深い方向性であることがわかってきた。物質展開による領域内共同研究を狙う。
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Research Products
(2 results)