2020 Fiscal Year Annual Research Report
リオトロピック液晶共連続キュービック相の電子密度情報に基づく構造形成原理の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
20H04634
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡 俊彦 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (60344389)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リオトロピック液晶 / 共連続キュービック相 / 結晶学的位相推定法 / X線結晶構造解析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
両親媒性分子と水からなるリオトロピック液晶共連続キュービック相は、三重周期極小曲面によく似た構造を形成する。この構造が内包する現象を理解することを目的に研究を行った。 私のグループでは共連続キュービック相の単結晶領域作成を行い、X線結晶構造解析により電子密度を得る技術を開発してきた。しかし回折法のみからでは結晶構造因子の結晶学的位相は決まらない。結晶学的位相を推定する手法は固体結晶では実用化されているが、共連続キュービック相のような液晶でも利用可能なものはなかった。そこで共連続キュービック相に特化した結晶学的位相推定法の開発を試みた。固体結晶で結晶学的位相推定に用いられている電子密度の条件は、positivity, atomicity, support(電子密度0の領域)の三つである。共連続キュービック相でこれらに対応するような電子密度情報を考え、位相推定に用いることにした。その結果、位相推定に用いることが可能な指標を見出すことに成功した。共連続キュービック相は、中心対称性を持つため、結晶学的位相は0またはπに限定される。このためすべての位相組み合わせで電子密度を計算することが可能で、それぞれの電子密度に対応する指標も計算できた。その結果、この指標が位相推定に有効であることが示された。この指標はリオトロピック液晶共連続キュービック相だけでなく、同様の構造を持つサーモトロピック液晶や高分子などにも応用可能と考えられる。 今後はこの手法を用いてより分解能の高い構造解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の対策に伴い研究以外の業務量が大幅に増加したため、実験等の時間の確保が困難となり、当初計画よりもやや遅れている。 リオトロピック液晶共連続キュービック相の構造解明に必要な、結晶学的位相推定法を開発は順調に進んてほぼ完成した。ある試料のリオトロピック液晶共連続キュービック相の単結晶領域でのX線回折測定までは完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、リオトロピック液晶共連続キュービック相のX線単結晶構造解析を行い、精度の高い電子密度分布を得ることを目指す。そして電子密度を説明する構造モデルを構築する。これと並行して構造解析に必要な結晶学的位相推定法の改善も進めていく。
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