2020 Fiscal Year Annual Research Report
Nonlinear Rheology of Nearly Critical Gels Composed of Infinite Sparse Network and Finite Fractal Clusters
Publicly Offered Research
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
20H04638
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
浦山 健治 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (20263147)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子ゲル / レオロジー / ゴム弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲル化臨界点をわずかに超えた点で得られる擬臨界ゲルは、非常に疎な無限大サイズの高分子網目と、サイズと分岐状態に広い分布をもつ有限クラスター群から構成される超ソフト固体である。擬臨界ゲルはフラクタル階層構造に由来するユニークな粘弾性と力学特性が期待されるが、その物性は全く調べられていなかった。本研究は、擬臨界ゲルの非線形粘弾性および大変形挙動を様々な変形モードを用いて調べ、その特異性を明らかにした。擬臨界ゲルの大変形応力緩和挙動を伸長変形とずり変形下で調べ、応力の時間依存性に対するひずみ-時間分離則がずり変形では成立するのに対し、伸長変形では成立しない、という特徴を見出した。極端に粘弾性が異なる混合系では粘弾性由来の相分離が起こることが知られている。非常に広いサイズ分布をもつ擬臨界ゲルでも粘弾性相分離が生じていることが予想される。変形によって生じる高分子鎖の伸長に敏感な伸長変形の方が相分離現象に対して敏感であると考えられる。 擬臨界ゲルの大変形挙動を二軸伸長変形によって調べ、ある方向のひずみの他方向の応力に対する効果(ひずみの交叉効果)がゲル化点に近づくにつれて最小化されることを見出した。この結果は多くの実在ゲルでみられるひずみの交叉効果が網目構造の粗密に依存すること、および閉じたループ構造がほとんどない非常に疎な網目になると同効果が消失することを意味している。この結果は、実在ゲルでみられるひずみの交叉効果の起源に迫るものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
擬臨界ゲルのフラクタル階層構造に由来するマクロな粘弾性挙動の特異性を見出すとともに、非常に疎な網目構造に由来する非線形弾性の特徴を明確化できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
擬臨界ゲルの非線形応力緩和挙動でみられるひずみー時間分離則の破綻の原因として、粘弾性相分離を想定しているが、この相分離現象の構造的見地からの証左はない。擬臨界ゲルの大変形下でのX線散乱測定などが望まれる。
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Research Products
(1 results)