2020 Fiscal Year Annual Research Report
Hierarchical structure and mechanical property of elastomers with different two network structures
Publicly Offered Research
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
20H04640
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小椎尾 謙 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20346935)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポリウレタンエラストマー / 架橋 / X線散乱測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴム(エラストマー)材料ほど、力をかけると数倍伸びて、元に戻る材料はない。ゴム材料が示すこのような特異な変形特性は、1. 内部に存在している高分子鎖がゴム(液体)状態で高い運動性を有していることと 2. それらの高分子鎖が架橋点でつながれてネットワーク構造を有することで達成される。このネットワーク構造の一つの要素である架橋点は、一般的には化学架橋点と物理架橋点に大別され、通常一方の架橋点が含まれている。これに対して、ポリウレタンエラストマー(PUE)は、化学架橋点と物理架橋点の両方を併せ持つことが可能な材料である。また、PUEはゴム材料の中でも高い破断強度を示すことが知られており、二種類のネットワーク構造の存在と関連している可能性があるが、詳細は明らかにされていない。 物理架橋および化学架橋を併せ持つポリウレタンエラストマー(PUE)をポリオキシテトラメチレングリコール、脂環族ジイソシアネートおよび1,4ブタンジオール、1,1,1-トリメチロールプロパンを用いて合成した。得られたPUEについて、一軸および二軸伸長過程におけるミクロ相分離構造変化を、その場小角および広角X線散乱(SAXSおよびWAXS)測定に基づき評価した。 化学架橋および物理架橋を含有するPUEの場合、物理架橋のみのPUEと比較して、破断ひずみが小さく、ミクロ相分離構造変化も小さいことがSAXS測定より明らかとなった。また、前者のPUEの破断強度はやや低下した。適切な化学架橋密度を導入することで、より強靭な物性を付与できる可能性があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、装置試作が遅れたため、進捗にやや遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
物理架橋と化学架橋を併せ持つPUEにおいて、化学架橋密度を種々変化させて、力学物性への影響を解明するとともに、強靭化のための知見を取得する。さらに、接着剤としてPUEを利用した際の接着強度についても展開を図る。
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