2020 Fiscal Year Annual Research Report
Geometric analysis of network structures of nanoparticles filled in rubbers and its structure-properties relations
Publicly Offered Research
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
20H04649
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
萩田 克美 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 講師 (80305961)
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Project Period (FY) |
2020-10-30 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子ゴム材料 / ナノ粒子充填材料 / 3次元ネットワーク / 分子シミュレーション / 幾何学的解析 / FIB-SEM計測 / データ科学解析 / 逆モンテカルロ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゴム中ナノ粒子に関わる3次元ネットワーク構造について、離散幾何の数学的解析で、構造-機能相関の解明を目指している。ゴム中ナノ粒子やその周辺のバウンドラバー(BR)を含むネットワーク構造を解析するため、実空間ナノ構造の計測とその解析、小角散乱データの解析、MD計算を精力的に進めた。 カップリング剤などで局所凝集構造を改変した試料に対するFIB-SEM計測実験を行い、ナノ粒子凝集体の3次元構造の特徴分析を進めた。また、試料間で明確な差がある小角散乱データの逆モンテカルロ(RMC)解析を実施し、FIB-SEMデータとの比較検討を進めた。さらに、2次元小角散乱パターンからナノ粒子の3次元構造を推定するRMC解析について、公開を前提としたコード整備を進めた。 BR等の挙動解明には、その相互作用の把握が重要である。相互作用と構造の相関をもとにディープラーニングで、電子顕微鏡観察等で得られる2次元断面像から相互作用値を推定する手法の有効性を、シミュレーションで作成した高分子相分離構造の事例で検討した。フィラー付近での配向や結晶化の挙動からのBR領域検出を目指し、全原子模型等のMD計算で試行的検討を行った。 BRの寄与によるフィラーネットワークや高分子網目のネットワーク解析手法について検討を進めた。ネットワーク構造と弾性発現の関連は粗視化MD計算で調べた。ボンド長に応じてボンド切断するモデルによる破壊挙動の再現可能性も検討した。また、MDの座標データに対し大量のループのペアのリンク判定する解析についてPythonパッケージの活用で効率的な処理を実現した。手法活用として、平衡状態で環状鎖を貫通する線状鎖の数分布の環状鎖サイズ依存性などの検討を進め、論文出版した。さらに、数個の環状鎖で構成されるカテナンに関して、トポロジーの違いがメルトのレオロジーに与える影響を粗視化MD計算で調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ゴム中ナノ粒子やその周辺のバウンドラバー(BR)を含むネットワーク構造を解析するため、実空間ナノ構造の計測とその解析、小角散乱データの解析、MD計算を精力的に進めた。特に、コロナ禍では国際連携協力活動は制約が大きいことから、領域内連携できるテーマの拡充を重点的に行った。 カップリング剤などで局所凝集構造を改変した試料に対するFIB-SEM計測実験を進め、一部試料のFIB-SEM計測はR3年度に実施することにした。得られた3次元ボリュームデータに対して、ナノ粒子凝集体の3次元構造の特徴分析を進めた。小角散乱データの逆モンテカルロ(RMC)解析を実施し、FIB-SEM観察結果との類似性や差異の分析を進めた。R3年度も引き続き検討を行う。また、2次元小角散乱パターンからナノ粒子の3次元構造を推定するRMC解析するコードについてはGPGPU活用に関する予備検討も行った。 相互作用と構造の相関をもとにディープラーニングで、電子顕微鏡観察等で得られる2次元断面像から相互作用値を推定する手法の有効性を、シミュレーションで作成した高分子相分離構造の事例で検討した。フィラー付近での配向や結晶化の挙動からのBR領域検出を目指し、全原子模型等のMD計算で試行的検討を行った。 BRの寄与によるフィラーネットワークや高分子網目のネットワーク解析手法について検討を進めた。ネットワーク構造と弾性発現の関連は粗視化MD計算で調べた。ボンド長に応じてボンド切断するモデルによる破壊挙動の再現可能性も検討した。また、MDデータに対し大量のループのペアのリンク判定する解析の効率的な処理を実現した。平衡状態で環状鎖を貫通する線状鎖の数分布の環状鎖サイズ依存性などの検討を進めた。さらに、数個の環状鎖で構成されるカテナンに関して、トポロジーの違いがメルトのレオロジーに与える影響を粗視化MD計算で調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
ゴム中ナノ粒子のFIB-SEM計測を引き続き実施するとともに、その解析を進める。特に、バウンドラバーの存在を仮定したネットワーク構造における弾性の発現などの構造-機能相関の解明を目指した研究を行う。また、2次元小角散乱パターンからナノ粒子の3次元構造を推定する逆モンテカルロ法のコードについては、効率的な解析処理のために、GPGPUの活用も検討する。 バウンドラバーに関連した検討として、フィラー表面をモデル化した無機基板とポリマーの系について、配向や結晶化の視点でMD計算手法の開発や検討を行う。 ループのペアで貫通判定する解析手法を活かし、環状鎖と線状鎖の混合系について既存の実験や材料を踏まえたプロダクトランのMD計算を行い、多くの論文出版を目指す。また、高分子相分離構造における2次元断面像から相互作用値をディープラーニングで推定する手法については、論文出版を目指す。さらに、数個の環状鎖で構成されるカテナンでトポロジーの差がレオロジーに与える影響に関する粗視化MD計算も、論文出版を目指す。
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Research Products
(5 results)