2020 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックHOF:新しいソフトクリスタルの創製と機能開発
Publicly Offered Research
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
20H04655
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 貴志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80625038)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水素結合有機構造体 / 分子集合体 / 分子運動 / ソフトクリスタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究代表者が見出した、共同的かつ異方的な分子の熱運動によって結晶ジャンプを示す水素結合有機構造体(HOF)結晶を基盤として、ダイナミックな運動が可能な分子からなるHOF(ダイナミックHOF)群の創成と新奇機能開拓を行うことを目的としている。動的な分子からなる柔軟な分子集合体の創製と機能開拓も推進することで、ソフトクリスタルの機能開拓に貢献することを目指している。 本年度は、ダイナミックHOF群の創製とそれに基づくユニークな機能発現を実現するため、異なる運動性及び運動自由度を有する分子、および光学・電子物性と分子運動性を併せ持つHOF分子群の合成を行った。具体的にはテトラ[2,3]チエニレンとカルボン酸の間にπ共役ユニット(フェニレン・フェニルエチニレン)を連結した分子を合成した。これらの分子はテトラ[2,3]チエニレンでは見られない可視光領域の強い吸収や発光が観測されており、HOF構造中での分子運動に基づく大きな色調変化が期待できる。また、同様の合成戦略によりチオフェン環を連結した分子についても検討を進めている。 上記の研究と並行して、弱い分子間相互作用に基づく動的な有機分子集合体の創製と機能開拓を行った。1,3,5-ベンゼントリカルボキサミドにキラルアルキル鎖を導入した分子では、直鎖のものと比べ抗電場の小さい強誘電体となることを見出した。また、適切な分子設計により、πスタッキングが強く結晶化しやすい拡張π電子系をコアとした分子性ガラス材料の創製に成功し、特異な分子ダイナミクスと発光特性を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、異なる運動性及び運動自由度を有するHOF分子、および光学・電子物性と分子運動性を併せ持つHOF分子群の合成を行うことができた。これを用いて来年度結晶化およびその機能探索を進めることができる。上記以外にも分子運動に基づくユニークな機能を示す有機分子集合体を見出すことができている。これらを総合して、本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイナミックHOF分子群の合成を進めていくとともに、合成したHOF分子の結晶化およびその機能探索を進める。HOF結晶の物性測定を行い、分子の運動性に基づいた「ダイナミックHOF」のユニークな機能探索を進めていく。
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